
【ロサンゼルス(米カリフォルニア州)28日(日本時間29日)=斎藤庸裕】ドジャース大谷翔平投手(30)が、先制攻撃の起点となった。「1番DH」で出場したマーリンズ戦で2打数1安打1盗塁。1回に右前打と二盗からチャンスを作り、先制のホームを踏んだ。マ軍のクレイトン・マッカロー新監督(45)は昨年、ド軍の一塁コーチとして大谷の盗塁増に貢献。出塁後にヘルメットをぶつけ合う「ヘッドバンプ」の初代パートナーの前で5打席のうち4度出塁した。チームは延長10回に逆転サヨナラ勝ちで3連勝を飾った。
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“元参謀役”の前で、大谷が足を絡めたスモールベースボールを体現した。1回の第1打席、マ軍の右腕カブレラのスライダーを捉え、右前打を放つと、一塁ベース上で好機をうかがった。2番ベッツの打席の4球目、緩いカーブのタイミングで絶好のスタートを切り、二盗に成功。無死二塁からベッツの中飛でタッチアップし、1死三塁からフリーマンの適時打で先制のホームを踏んだ。
試合開始の約1時間半前。投手調整を行っていた大谷がダッグアウト裏からフィールドに現れ、マ軍のマッカロー監督の元へ駆け寄った。満面の笑みとハグであいさつを交わし、談笑。昨年までド軍の一塁コーチを務めていた元参謀役とは、相手投手のデータ分析や癖などの情報を共有し、ともに盗塁増に取り組んだ。この日は、同監督から「ショウヘイは4タコ(4打数無安打)だ」と予告されていたが、第1打席でいきなり安打を放ち、足を使った攻撃でかき回した。
史上初の「50-50(50本塁打&50盗塁)」を達成したのは、マーリンズの本拠地マイアミだった。同監督は「WBCもそうだし、50-50も(マイアミで)。ここぞという時に強い選手だし、彼は何かを持っている」と懐かしそうに振り返った。今季から敵となり「同じチームにいた時の方が良かったかな。かなりの強敵だから」と笑った。プレーボール直前には、同監督へのチャンピオンリング贈呈式に大谷も参加し、記念の帽子を手渡した。第1打席に入る前に相手監督へあいさつを行うルーティンも、あうんの呼吸でぴったり目が合った。
この日は5打席で4度出塁し、1試合3四球は今季最多となった。チームは延長10回、エドマンの一打で逆転サヨナラ勝ち。ロバーツ監督は「試合序盤、ムーキー(ベッツ)が進塁打でショウヘイを進めて、フレディ(フリーマン)が安打を打って、攻撃面で基本的な野球ができている」。日本の伝統や文化をたたえるジャパニーズ・ヘリテージ・ナイトを劇的勝利で飾った。