
<オリオールズ4-3ヤンキース>◇28日(日本時間29日)◇カムデンヤーズ
【ボルティモア(米メリーランド州)28日(日本時間29日)=久保賢吾】オリオールズ菅野智之投手(35)が、ヤンキース戦にシーズン初先発し、5回5安打無失点の好投で3勝目を挙げた。自身メジャー最多の8奪三振をマーク。ジャッジとの3打席目での対戦では、日本式とメジャー式を織り交ぜた投球で空を切らせた。ア・リーグ東地区のライバルで首位を走るヤンキース打線を封じ、チームの連敗を3で止めた。
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記者席からオリオールズ菅野がヤンキース打線を相手に投げる姿を見ながら、感情が高ぶった。入社19年目。40歳を超え、大きな夢を描くことはほぼ無くなったが、あの日、2人で語った夢が頭の中を巡った。20年1月6日。米ハワイ自主トレ取材でのことだった。菅野は練習後、中川、宮国、直江、鍬原とともにバーベキューを開催。取材に訪れた記者も招待された。
辺りも暗くなった頃、菅野がおもむろに記者の前に座って、静かに話し始めた。「賢吾さん。もしね、僕がメジャーでプレーすることになったら、取材に来てくれますか?」。周りを見れば、宮国や中川が肉を食べながら、楽しそうに話す姿が見えた。「もちろん、行くよ。取材に行かせてもらえるように頑張るよ」。菅野はニコッと笑って、記者を見つめた。
「何かいいですね。お互いの夢ってことで」
あの日から、5年がたった。22日(同23日)、ナショナルズ-オリオールズ戦でワシントンを訪れ、メジャーリーガー菅野と初対面した。ベンチの柵に背中をつけながら「ここもいい球場ですね」と笑顔で話す菅野に伝えた。「夢がかなったよ」。菅野は記者の顔を見ながら「あぁ、そんなことありましたねぇ」と笑って、記者の肩にソッと手を添えた。【久保賢吾】