<オリオールズ4-3ヤンキース>◇28日(日本時間29日)◇カムデンヤーズ
【ボルティモア(米メリーランド州)28日(日本時間29日)=久保賢吾】オリオールズ菅野智之投手(35)が、ヤンキース戦にシーズン初先発し、5回5安打無失点の好投で3勝目を挙げた。自身メジャー最多の8奪三振をマーク。ジャッジとの3打席目での対戦では、日本式とメジャー式を織り交ぜた投球で空を切らせた。ア・リーグ東地区のライバルで首位を走るヤンキース打線を封じ、チームの連敗を3で止めた。
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4点リードの5回無死一塁、菅野が対峙(たいじ)したのはヤンキース・ジャッジだった。2ボールからの3球目にスプリットを選択。ストライクゾーンから内角低めに沈め、空振りを奪った。4球目はスライダーで空振り、速球でファウルの後、再びスプリットで空を切らせた。
「四球が一番良くないし、本塁打をガツンと打たれても、走者がいない状態から始められるんだったらそれの方がいいなと。4点差だったんで開き直って」
メジャー式と日本式を合わせた「SUGANO流」を体現した。巨人時代からスライダーは勝負球であり、不利なカウントでも絶対的な球種だったが、米国ではスプリットやカーブの比率が増加。頭と体を順応させ、ボールの軌道にアレンジも加えながら変化した。
メジャー最多の8奪三振をマークし、6つをスプリットで奪ったが、勝負するまでの過程に答えが見えた。前回登板はスプリットが球種別トップの31%で直球は4位タイの12%だったが、この日は直球が2番目の24%でトップはスライダーの27%。原点の直球、スライダーでカウントを整え、落ち球を振らせた。
同地区首位のヤンキース相手に3勝目を挙げ、チームの連敗を3でストップ。注目のジャッジとの対戦は、3打数2安打1三振だった。「スプリングトレーニングの時の対戦で四球を出して、ブーイングされたんでブーイングされないように真っ向勝負で」。試合後の取材でも“緩急”で現地メディアの笑いを誘った。