
<楽天0-1ソフトバンク>◇25日◇楽天モバイルパーク
鬼門の地から逆襲だ。2年連続で開幕投手を務めたソフトバンク有原航平投手(32)が5試合目の先発マウンドでうれしい今季初勝利だ。日本ハム時代から6連敗中だった敵地・仙台で楽天打線を相手に8回無失点。チームを今季2度目の3連勝に導いた。指揮官2年目の小久保裕紀監督(53)に監督通算100勝のメモリアル勝利もプレゼント。低空飛行を続けてきたホークスが、エース右腕の白星をきっかけに再浮上する。
やっぱり有原は気になっていた。ズシリと重く責任を感じていたのだろう。日本ハム時代から苦手としてきた杜(もり)の都のマウンドで、自身6年ぶりの白星。連敗データに別れを告げ「もう、これで終わりですね」と静かに笑った。ホークス移籍後もジンクスは続いていた。最多勝に輝いた昨年5月の登板も6回4失点で黒星。嫌なムードは有原自身が一番感じていたはずだが、粘りの投球で悪い流れを断ち切った。
立ち上がりから押した。3回までパーフェクト投球。楽天先発の早川も4回まで完全投球。早大後輩の快投に自らもムチが入った。「すごく早川がいい投球をしていた。何とか粘り強く投げようという意識があったので、走者を出しても抑えられたと思います」。4回無死一、二塁のピンチを作ったが、3番浅村を遊ゴロ併殺打。4番鈴木大を遊ゴロに仕留めた。その後も3度得点圏に走者を置きながら、しっかり内角を攻めホームを踏ませなかった。
2年連続で開幕投手の大役を務めたが、白星が遠かった。3・28開幕のロッテ戦(みずほペイペイドーム)は5回までパーフェクト投球を演じるも7回88球を投げ7失点の炎上。波に乗れないまま、試合前時点で4戦3敗だった。「自分が勝てなかったこともですが、チームも負けていたので…」。カード頭にマウンドに立つ右腕は、黒星先行となってしまう現状に責任を痛感していた。
流れは変わった。低空飛行を続けていたチームにとっては浮上の起点となる大きな白星だ。2年目のタクトとなる小久保監督は指揮官通算100勝目。「そんなのはどうでもええ」と無関心だったが、チームは今季2度目の3連勝。ようやく最下位を脱出した。まだ肌寒さの残るみちのくで、チームは再浮上へ勢いに乗る。【佐竹英治】