
春季高校野球新潟県大会が26日に開幕する(長岡市悠久山球場ほか)。昨夏の新潟大会で無安打無得点を達成した村上桜ケ丘の右腕、渡辺勇陽投手(3年)がグレードアップして春を迎える。冬場の体力アップ、フォームの調整などの成果を示して夏につなげる。5月11日に決勝が行われ、上位4チームが北信越大会(同31日~6月3日、ハードオフエコスタジアム新潟ほか)に出場する。
◇ ◇ ◇
渡辺勇が思いきり右腕を振り下ろすたびに、捕手のミットが乾いた音を立てる。最近は練習試合に登板した翌日でも、感覚を確かめたい時には投げ込みを行って調整してきた。「次に進むためにも、まず初戦に勝つこと」。今季最初の公式戦、27日の新潟商との1回戦に目を向ける。
最速139キロの直球にスライダー、カーブを交えた配球が軸。「まだ真っすぐが高めに浮く」と生命線の直球の仕上げは入念だ。公式戦初先発だった昨夏の新潟大会2回戦の新潟西戦で無安打無得点を達成した。「あの時は外角低めに思ったように投げられた。あれ以上のレベルにする」。13奪三振、4四死球の内容を分析して意識の奥に置く。
松田忍監督(75)は「力はある。140キロ台はすぐに出せる。最近になって意識も変わってきた」と成長を感じている。冬場は体幹のトレーニング、校舎内の15分間走の体力づくりに徹した。トレーナーの下で体の使い方も研究。昨秋までスリークオーター気味だったフォームを上手投げにした。「球威も制球もレベルを上げたい。直球は夏までに145キロは出せるようにしたい」と手応えがある。
無安打無得点後、「少しプレッシャーも感じた」と周囲の目を意識する時期ももあった。今は1つの試合結果として捉えている。「自分を磨いてチームを勝たせないと」。村上シニア時代からのチームメート、左腕の渡辺壮汰(3年)が急成長。エースの座を争っていることも刺激だ。「県大会で優勝して、夏につなげる」と春の県制覇を通過点にする。【斎藤慎一郎】
◆渡辺勇陽(わたなべ・ゆうひ)2007年(平19)8月2日生まれ、村上市出身。山北小4年で野球を始める。山北中では1年から少年硬式野球の村上シニアに所属し、投手。村上桜ケ丘に進み、1年の秋からベンチ入り。好きなプロ野球選手はドジャース大谷翔平、ソフトバンク柳田悠岐。179センチ、93キロ。右投げ左打ち。