
<UEFAチャンピオンズリーグ(欧州CL):Rマドリード1-2アーセナル>◇16日(日本時間17日)◇準々決勝第2戦◇サンティアゴ・ベルナベウ
【マドリード=高橋智行通信員】スペイン出身のミケル・アルテタ監督(43)に率いられ、初優勝を狙うアーセナル(イングランド)が王者レアル・マドリード(スペイン)を突破した。アウェーで2-1と勝ち、2戦合計5-1。ベンゲル監督時代の08-09年以来、16年ぶりの4強進出となった。インテル・ミラノはバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)を下し、2季ぶりの4強入り。準決勝はアーセナル-パリ・サンジェルマン(フランス)、バルセロナ(スペイン)-インテル・ミラノとなった。
◇ ◇ ◇
試合終了のホイッスルは欧州の主役交代を告げるものだった。アルテタ監督の就任から5年4カ月。手塩にかけて育てたアーセナルの組織美が、高い個人技のRマドリードをのみこんだ。「魔法をかける」と表現される難攻不落のサンティアゴ・ベルナベウで勝利。「間違いなく、私の人生で最高の夜になった」。感無量の面持ちでそう語った。
同じスペイン人で希代の戦術家、グアルディオラ監督の薫陶を受けた。マンチェスターCでアシスタントコーチを務め、ディテールにこだわることを学んだ。個人に頼らず互換性を高めて組織力で戦う。2月にドイツ代表FWハバーツが負傷で今季絶望となると、パサーのスペイン代表MFメリーノをトップに抜てき。今回の2試合でも、ここが勝負のポイントとなった。
「偽FW」として中央のスペースを空けることで、左右ウイングが走り込む。第1戦の得点に加え、この日もスルーパスで右FWサカの先制点、後半追加タイムに左FWマルチネリの決勝点と2アシスト。立ち位置を変えるローテーションで、相手にボールの奪いどころをつかませない。そこへ全幅の信頼を寄せるライスがピッチ上の指揮者となり、攻守でシステムを可変。効果てきめんだった。
アルテタ監督は“ペップ”ことグアルディオラ監督について問われると「今朝、電話したよ。私がここにいるのは主に彼のおかげだ。私に監督としても選手としてもインスピレーションを与えてくれた。彼と素晴らしい4年間を過ごしたし、彼がいなかったら私はここに座っていなかった」。欧州最高峰の舞台が、新たな名将を誕生させた。