
いよいよ、メジャーリーグのシーズンが開幕しました。それに先駆けて、MLB公式サイトの専門家59人がMVP、サイ・ヤング賞、新人王の三賞を予想。ナ・リーグMVPにドジャース大谷翔平投手、新人王に同じくドジャース佐々木朗希投手の名前を挙げていました。
3年連続4度目のMVPが懸かったシーズンを迎えた大谷について、同サイトは「ナ・リーグで圧倒的な支持を受け、他の選手より2倍以上の票を獲得した」と記述。さらに「25年はマウンドに復帰する。昨年の『50-50』を再現する必要がない」と、投打二刀流復活が追い風になると予想していました。
一方、佐々木については「時速100マイル(約161キロ)の剛速球と世界最高級のスプリットのいやらしい持ち球」と表現。3月19日の日本開幕第2戦での先発デビューを引き合いに出し「3回1失点で5与四球と完璧な内容ではなかったが、シーズンでは一流のバッターたちを苦しめるだろう」と期待を寄せていました。
ちなみに、サイ・ヤング賞は23年ドラフト全体1位でパイレーツに入団し、昨年ナ・リーグ新人王を受賞した剛腕ポール・スキーンズ(パイレーツ)でした。しかし、同サイトは両リーグ合わせてのダークホースとしてジョー・ライアン(ツインズ)に次ぐ2位に、ドジャース山本由伸投手を選んでいました。
実際、同18日の日本開幕戦でカブス相手に5回3安打1失点と好投。今季初勝利を挙げた時、デーブ・ロバーツ監督が「シーズンを通して健康体ならサイ・ヤング賞に値する可能性は十分にある」と称賛。日本人初の称号も見えて来そうです。
そうなると、過去に同じチームで三賞独占となる「トリプル獲得」があったかが知りたいところです。調べたところ、年間三賞のうち2つの賞に輝いたのはのべ56チームありました。最近では昨年ヤンキースの主砲アーロン・ジャッジが2年ぶり2度目のMVP、ルイス・ヒル投手が新人王に輝いています。
それより前は19年アストロズのジャスティン・バーランダー(ジャイアンツ)が2度目のサイ・ヤング賞、左の大砲ヨルダン・アルバレスが新人王を獲得。同じ年メッツのジェイコブ・デグロム(現レンジャーズ)が2年連続サイ・ヤング賞、新人最多本塁打記録達成のピート・アロンソが新人王に輝いています。
サイ・ヤング賞とMVPの組み合わせは19チームありました。しかし、1998年にメジャーが30球団に拡張して以降、投手の同時受賞を除けば4チームだけ。最近では13年タイガースのマックス・シャーザー(現ブルージェイズ)が初のサイ・ヤング賞、ミゲル・カブレラが2年連続MVPに輝きました。
ドジャースでは62年ドン・ドライスデールがサイ・ヤング賞、モーリー・ウイルスがMVP。74年マイク・マーシャルがサイ・ヤング賞、スティーブ・ガービーがMVP、88年オレル・ハーシュハイザーがサイ・ヤング賞、カーク・ギブソンがMVPと3度ありました。
しかし、1931年にMVP、47年に新人王、56年にサイ・ヤング賞が制定されて以来、69年間の歴史で1つのチームが3つの賞を総なめにしたことは1度もありません。それが今年はドジャースで史上初、それも日本人投手3人による三賞独占の可能性がありそうです。
はたして、ドジャースで投打二刀流復活を期す大谷、先発陣の中軸を担う山本、メジャー1年目に臨む佐々木の「侍トリオ」が史上初の三賞独占という快挙を成し遂げるでしょうか? そうなれば、自ずとワールドシリーズ連覇への道も見えてくると思います。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)