
北海道コンサドーレ札幌への来季加入が内定した大体大FW佐藤陽成(21)が21日、大阪・J-GREEN堺で行われた、天皇杯大阪府代表決定戦大学予選Bブロック準決勝の桃山学院大戦で2ゴールを決めた。札幌下部組織出身で高校時代はトップチーム昇格がかなわなかったが、大学を経由して地元クラブへUターンする。この日、特別指定選手への登録も完了し、26日ルヴァン杯1回戦福島戦でJリーグ公式戦デビューする可能性もある。
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札幌入りを決めた佐藤は力を見せつけた。17日に内定が発表されてから最初の試合。大体大の主将を務めるストライカーが先制弾を含む2発で4-0の快勝に貢献した。22日からは札幌の練習に合流する。「結果を残してから行けと(松尾)監督からも言われていたので、2点取れて良かった」と笑顔。チームメートからは「陽成頑張れよ」と、エールを受けて送り出された。
「ほっとしている」と率直な思いを口にする。中学3年から札幌U-15に所属したアカデミー育ちは、U-18時代は高校2年生から2年連続で2種登録されるも、トップチーム昇格を逃した。当時悔しさはあったが「人間的に未熟なところなど自分に足りない部分を気づかされ、今こうやってプロ契約をつかめたので、大学に来て良かった」と振り返る。
大学進学後も「とりあえずコンサだけを」と、一途に古巣帰還だけを思って練習した。昨年の開幕前キャンプや夏の練習にも呼ばれてテストが繰り返された。4月からは4年生。今年1月の沖縄キャンプは「ラストチャンスだなと思って臨んだ」。昨年12月に負った右太もも裏肉離れの影響で万全ではなかったものの、練習試合で得点するなど力を出し切り、“三度目の正直”。2月下旬に内定の連絡を受けた。
小学1年でテレビアニメ「イナズマイレブン」を見て競技を始めた稚内出身のサッカー少年が、プロ選手になる夢をかなえた。特別指定選手への登録も終え、23日J2アウェー愛媛戦から出場は可能だが、26日ルヴァン杯1回戦福島戦でのJリーグ公式戦デビューがまずは現実的な目標となる。「これからがスタート」と気を引き締めた。【保坂果那】
◆佐藤陽成(さとう・ようせい)2003年(平15)9月3日、稚内市生まれ。稚内南小1年から稚内ジュニアイレブンでサッカーを始める。稚内南中2年時に全国出場。3年進学と同時に札幌U-15入りし、同U-18では2年連続で2種登録だった21年7月に天皇杯3回戦長崎戦でトップチームの公式戦デビューを果たす。22年大体大入学。170センチ、64キロ。利き足は右。背番号は40。家族は母と姉2人。