
いよいよ、3月18、19日、MLBワールドツアーの一環として日本開幕戦、「東京シリーズ」カブス-ドジャースの2連戦が行われます。メジャーリーグ史上最も早い時期の開幕となります。
昨年世界一のドジャース開幕戦を見られるだけでもすごいですが、やはり最大の見どころは世界のスーパースター大谷翔平をはじめとする日本人対決。開幕戦からカブス今永昇太、ドジャース山本由伸という、史上初めて日本人先発投手同士の投げ合いでシーズンの幕を開けます。
例年ならまだオープン戦の期間中なので、両投手とも球数はせいぜい75球程度に制限されると思います。それでも2人とも抜群の制球力があるので、責任投球回数の5回を投げ切れば、史上最も早い勝利投手になる可能性が出てきます。
その上で最大の注目は1回表のプレーボール直後にやって来ます。カブスの先発今永に対し、ドジャースの攻撃は1番大谷から始まるからです。その歴史的第1球は、通常の場合、米ニューヨーク州クーパーズタウンにある野球殿堂博物館に飾られることになります。
大谷は初球から積極的に打ちに行くタイプのバッター。はたして、初回から先頭打者ホームランが飛び出すでしょうか? 最初の打席から日本開幕戦で日本人初のホームラン、さらに史上最も早い歴史的な1発に期待がかかります。
逆に、今永にとっては大谷を抑えることが好投する最大のカギです。なぜなら、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンと強打者が続くからです。昨年ドジャースは初回1~3番の「MVPトリオ」が3者凡退で終わったことはほとんどなく、まさに相手投手にとって恐怖の上位打線と言えます。
特に、本来1番打者のベッツは「ワールドワイドプレーヤー」であり、レッドソックス時代から米国、カナダ、英国、韓国の4カ国でヒットを記録。さらにフリーマンも、昨年ワールドシリーズ史上初となる、初戦から4試合連続本塁打の活躍でMVPに輝いた超一流バッターです。
一方のドジャース先発山本にとっても、カブスの上位打線は侮れません。とりわけ、1番イアン・ハップは18年の開幕戦で先頭打者初球ホームランを記録。続く2番にはアストロズから移籍して来た左の強打者カイル・タッカーが予想されます。今年のナ・リーグMVP候補にも挙がる、大谷のライバル的存在です。
3番はメジャー4年目を迎える鈴木誠也。同い年の大谷ばかりが注目されているだけに、負けん気は人一倍あるはず。昨年は山本に対し4打数ノーヒット3三振と抑えられましたが、日本人初本塁打を放つ可能性も十分あると思います。
そして、第2戦ではドジャース佐々木朗希投手が先発デビューします。オープン戦では自慢の剛速球だけでなく、「カットスプリッター」や「バタフライスプリッター」と形容される魔球スプリットも大きな話題となり、いきなり奪三振ショーを繰り広げるか注目したいです。
それに対し、カブスは左腕ジャスティン・スティールが先発予定です。つまり、開幕2連戦は今永、スティールと左の2枚看板を起用することにより、ドジャースは「左キラー」の4番テオスカー・ヘルナンデス、韓国系米国人のトミー・エドマン、若いアンディ・パヘスあたりがヒーローになるかも知れません。
とにかく、過去5度の日本開幕戦と比べても史上空前のフィーバーぶり。これほど日本中がメジャーリーグに熱狂しているのは見たことがなく、まさに「史上最大の日本開幕戦」となります。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)