
<オープン戦:日本ハムー西武>◇6日◇エスコンフィールド
夢がかなった。日本ハム山崎福也投手(32)が西武とのオープン戦(エスコンフィールド)に「3番DH」でスタメン出場した。日大三時代に「日本ハムの3番打者」を将来の夢としていた開幕ローテ入り有力左腕は、プロ11年目での正夢に笑顔。開幕DH候補として打者山崎を高評価する新庄剛志監督(53)による粋な3番起用はシーズンへ向けた準備と野手陣へのメッセージも込めた“二刀流采配”だった。
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山崎が軽やかにミートした。3回2死走者なし。西武のアンダースロー右腕、与座が投じた131キロ直球。外角高めに浮いてきたところにバットをポンッと出すと、球足の速いゴロは二遊間の真ん中へ。名手源田が追いついたが、捕球はできず。遊撃内野安打。オープン戦初安打に笑顔満開。ベンチの新庄監督も首脳陣とハイタッチで喜んだ。
前夜に中継ぎ登板した左腕は試合前からニッコニコだった。新庄監督から告げられた「3番DH山崎」。日本ハムでは17年大谷以来となる投手登録選手による「3番DH」だ。ウッキウキで試合前練習でもフリー打撃に臨んでいた。「2本、入っていたのでよかったです」としっかり柵越えも披露。1回無死一、三塁での第1打席では遊ゴロ併殺打で打点は付かずも、三塁走者を生還させて先制点をもたらしていた。
新庄監督は「もしかしたら開幕DHかもしれん」と高評価する山崎の打撃を生かすため、2月の春季キャンプから本格的に「DH山崎」の準備をさせてきた。実戦で打席に立たせる機会も伺ってきた中で、3番で起用したのは「高校生の時に『ファイターズの3番バッター』が夢って。夢は見るもんじゃない、かなえるもんだよ。ハッハッハ」。
さらに野手へ向けたメッセージも込められていた。「あの力の入れ具合というか、ボールの見方っていうのを学んでほしい」。3回の遊撃内野安打のように、力みのない構えから最短距離でバットを出してミートする山崎の打撃は、野手陣の“お手本”にもなると期待しての起用。もちろんシーズンでもDH起用をもくろむからこその準備を堂々と敢行した。【木下大輔】