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<開業記念試合:巨人1-1ヤクルト>◇1日◇ジャイアンツタウンスタジアム
ヤクルト奥川恭伸投手(23)が完全復活を予感させた。
今季初実戦で2回を2安打無失点。巨人2軍との新球場ジャイアンツタウンスタジアムの開業記念試合で、最速153キロをマークした。昨季の最速151キロを2キロ上回るスピードを調整段階で計測した。先発予定だった2月18日ロッテ戦を下半身のコンディション不良で回避。仕切り直しのマウンドで、3年ぶり開幕ローテ入りに視界が開けてきた。
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空は抜けるように青かった。雲1つない春晴れの下、奥川は新球場の熱気を感じながら、マウンドに向かった。1回先頭の1球目。オコエに右前打とされた直球は162キロと表示された。もちろん数字は誤計測。ただ力強さが戻ってきた直球は復活が近づいていることを予感させた。星稜の1年後輩・内山とのバッテリーで2回を無失点に抑えた。
1回2死一、二塁のピンチでギアを上げた。巨人増田大への2球目は、この日最速の153キロをマーク。今度は数字に間違いはない。押し込み、ファウルで追い込んだ。「去年はスピードが出なかったところがあったので、スピードが出ているのはいいこと」とうなずいた。最後は123キロカーブで空振り三振。直球の威力があるからこそ、変化球が決め球となった。
リスタートの初実戦だった。先発予定だった2月18日ロッテ戦を下半身のコンディション不良で回避した。高津監督も長期離脱を口にするなど状態が心配されたが、4日後の同22日にブルペンで41球を投げ、全体練習に復帰。同25日は72球を投げ込み、実戦へ備えてきた。
「1軍完走」の目標が、奥川を強く突き動かす。「開幕にいないと完走にならない。開幕でしっかりローテを狙って」と引き締めた。3勝だった昨季に悩まされた腰痛と向き合い、トレーニングを重ねながら乗り越えてきた。キャンプで一時、立ち込めた暗雲も拭い去っている。先発ローテの座がはっきり見えてきた。【上田悠太】