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日本ハム伊藤大海投手(27)が26日、超異例の“大海流調整”で沖縄・名護キャンプを打ち上げた。エース右腕が今キャンプのブルペンで投じた球数はわずか110球程度。日々のキャッチボールを投球とリンクさせ、完成度を高めてたどり着いた調整法だ。この1カ月で得た収穫を手に、今季初実戦となる3月2日の台湾・中信戦(台北ドーム)へ向かう。
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伊藤が自信に満ち満ちた表情でキャンプを総括した。「今までのプロ野球人生の中でもすごく収穫が多かった。有意義でしたし、シーズンがすごく楽しみになりました」。昨季は最多勝利と最高勝率のリーグ2冠を達成。「去年があっての今シーズン。今までと同じようにやっていたら足をすくわれる」と、自分を律して過ごした。
肝は「球数」だった。元々ブルペンでの投球数は少ない方だが、この1カ月間で投げたのは「トータルで110球ぐらい」。加藤投手コーチが「あんまり若い子に言いたくない」と苦笑いするほど珍しい“極少”の調整法で状態を上げてきた。
その分、大事にしたのがキャッチボール。毎日行うメニューを投球練習の準備という位置づけにせず、「その1球に対しての自分の再現性を」求めて集中。「出力と体の感じが合っていると、ブルペンに入ってもそんなにイメージが変わらなかった」と効果的で、「1球1球の質だったり、完成度の高さを求めた結果」、ブルペンでの投球数は少なくなった。
満を持しての実戦マウンドは3月2日の台湾・中信戦(台北ドーム)。21日に予定していたライブBP登板が悪天候で中止になったため、今季初めて打者と対峙(たいじ)する2イニングになる。「真っすぐに対するバッターの感じを見たい。どれだけ出力を出せるか」とテーマを掲げる。開幕は約1カ月後。伊藤自身も4月1日の本拠地開幕ソフトバンク戦(エスコンフィールド)での登板が決まっている。「リーグ優勝、日本一を達成しないと行けない年。監督との約束は15勝以上なので、それを達成できるように」と力が入った。“大海流”を貫く伊藤がギアを上げていく。【黒須亮】