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<明治安田J1:鹿島4-0東京V>◇第2節◇22日◇カシマ
「鬼木鹿島」が“らしさ全開”で東京Vに4-0で圧勝し、今季初勝利を挙げた。
ホーム開幕戦で2トップの鈴木優磨(28)と新加入のレオセアラ(30)がそろって2得点。23年10月の浦和戦から本拠で23試合負けなしと、史上4位の無敗記録も継続した。湘南に0-1で敗れた開幕戦の反省を生かし、鹿島スタイルのロングボールと球際の強度を押し出し連敗を免れた。鬼木達新監督(50)が植え付ける技術の向上と、常勝軍団の伝統を織り交ぜながらタイトル奪還へ向かう。
◇ ◇ ◇
立ち上がりから、開幕湘南戦とは別チームになっていた。先発も3人変更。左MFにスピードが持ち味の松村優太を起用。前節はつなぐ意識が強いあまり、各駅停車のパスで攻撃が停滞していたが、この日は最後方からロングボールに松村が何度も抜け、躍動した。
前半22分、その松村の裏抜けを起点にレオセアラがDF安西のクロスに頭で合わせる。直後の25分にも新ブラジル人が決めた。同42分には、レオセアラが獲得したPKをエース鈴木が決め、後半30分に再び鈴木。鬼木監督は“鹿島初勝利”に「うれしいと言うよりホッと」と思いを吐露した。
常勝が求められる鹿島での初陣は、黒星だった。「鹿島である以上、ホームで負けてはいけないし、タイトルを狙う以上、連敗だけは避けたい」と指揮官は選手に伝え「相手が一番嫌がることは何か」と問うた。
鹿島に「止める・蹴る」の意識を植え付けている最中だが、今節は狙いをシンプルに明確化。前面に押し出した。「あれもこれも、ではなく、自分たちの狙いをしぼった。相手の長所を出させず、自分たちの長所になる選手を上手に使いながら戦った」と鬼木監督が振り返るように、ロングボールで手数をかけずゴールに迫る「鹿島らしい戦い」でリズムをつくった。相手のプレスを無効化させた。
回数こそ少ないが、技術を駆使したパスワークも見られた。鬼木監督も「決してボールを握るのをやめたというわけではない」と言い切る。敗戦から1週間での修正力。勝ちながらチャレンジしていく鬼木鹿島が覇権奪還への階段を上り始めている。【岩田千代巳】
○…2-0の前半42分にレオセアラが倒されて獲得したPKは、鈴木が蹴った。レオセアラはハットトリックが懸かっていたが、鈴木から「蹴らせてくれ」と頼まれ、譲った。鈴木は「FWは1点取ると、流れに乗る。早めに点が取りたかった」と意図を明かし「FWはそうやって関係を築いていくもの。逆の立場だったら僕も譲ると思う」と話した。新助っ人も「リーグの頭から点を決めるのはFWの大事な要素。3点決める運命だったらPKでなくても決められていた」。2トップの絆は深まっている。