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取るぞ、開幕ショート! ソフトバンクのジーター・ダウンズ内野手(26)が20日、宮崎春季キャンプ第5クール初日のフリー打撃で快音を連発し、開幕スタメン奪取へ強い決意をにじませた。正遊撃手の今宮健太内野手(33)が左ふくらはぎ負傷で離脱し、来日2年目の助っ人が代わる遊撃候補の1人にあがる。外国人選手の開幕遊撃スタメンとなれば、球団では南海時代の1961年バディ・ピート以来64年ぶりとなる。
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一振り、一振りにも力が入る。来日2年目のダウンズが、フリー打撃で快音を連発。左翼へ、中堅へ、右翼へ鋭い打球を飛ばした。見据えるのは、ただ1つ。練習を終え、開幕スタメン奪取への強い決意を明かした。
ダウンズ そのマインドセットを失うのであれば引退した方がいい。常にそこ(開幕スタメン)を狙っていくことは野球選手としての宿命と思っていますね
正遊撃手の今宮が左のふくらはぎを負傷し、チームから離脱した。王球団会長がこの日「ふくらはぎは気をつけないとね。しっかり治さないといけない場所」と語り、今宮の開幕不在も覚悟。川瀬も右膝痛でリハビリ調整中と内野手にアクシデントが続き、小久保監督は遊撃の候補にダウンズ、庄子を挙げる。本来は二塁手だが「チームが望んでいるところでベストなプレーをすることが一番大事」とダウンズは言う。キャンプ中の紅白戦1試合で遊撃で出場し、守備機会もそつなくこなした。
実はキャンプ地に秘密兵器を持ち込んでいる。「ジュニア ハック アタック」と呼ばれる機器を米国から持参。投手の球質をリアルに再現し、変化球も打ち込むことができるピッチングマシンだ。「右投げ、左投げにも設定できる。角度の設定もできますし、守備の面でもハンドリング練習に使えている」。宮崎アイビーの室内練習場に据えたそのマシンを相棒に、連日のアーリーワークに励んでいる。
昨季途中の8月に加入し、シーズンの最終盤に1軍昇格。計7試合出場で打率2割7分3厘、1本塁打、2打点をマークした。「日本のスタイルを学ぶことができた。自分がどういうふうにアジャストしないといけないのか勉強になって、オフはそこに向けて取り組んできました」。日本球界2年目へ準備は万全。南海時代の1961年バディ・ピート以来64年ぶりの助っ人開幕遊撃スタメンを奪ってみせる。【佐藤究】
◆過去の主な外国人遊撃手 78年ヤクルト初優勝の立役者ヒルトンは、二塁のほか遊撃でも25試合に出場。1番打者として大杉、マニエルら重量打線に好機を作る役割を果たした。また近鉄に01年途中に加わったギルバートは、豪快なチームを堅守で引き締めた。シーツは広島で03年から2年間プレーし、遊撃で計270試合に出場。華麗なグラブさばきを披露した。
◆バディ・ピート 1925年4月23日生まれ、米国オレゴン州出身。メジャーでは、ホワイトソックスとオリオールズの2球団で計13試合に遊撃手として出場。61年に南海(現ソフトバンク)初の外国人野手(日系を除く)として入団。野村克也、広瀬叔功らと400フィート打線を形成し、同年打率2割9分2厘、12本塁打でパ・リーグ優勝に貢献した。62年22本塁打、63年には24本塁打を放ち、この両年には球宴出場も果たした。63年限りで引退。帰国後はメジャー球団のスカウトなどを務めた。06年9月19日に81歳で死去。