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<紅白戦:紅組4-4白組>◇15日◇沖縄・名護
日本ハムのドラフト1位、柴田獅子投手(18=福岡大大濠)が“ホームラン級”の実戦デビューを果たした。1、2軍合同の紅白戦(名護)に紅組の「9番DH」で出場。3回の初打席で放った大飛球は逆風に戻されて惜しくも中飛となったが、新庄監督からは大絶賛された。17日には投手として初のブルペン投球も予定する規格外の高卒ルーキーが、いきなりインパクトを残した。
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誰もが見ほれた。柴田が、たった2スイングで底知れぬポテンシャルを発揮した。3回1死一塁。通算328試合登板の玉井との対戦で、初球内角への142キロ直球に豪快な空振り。「引っ張った感じだったけど、めちゃくちゃ振り遅れました」。プロのボールのキレ、強さに驚いたが、すぐにアジャストできるのが規格外の高卒新人たる由縁だ。
2球目、再び内角寄りの141キロ直球を捉えると「カツンッ」。場内に甲高い打球音がこだました。弾道の高さ、打球の速さ、大きなフォロースルー。一塁側ベンチ横で見ていた新庄監督も手を挙げて中堅右へ本塁打を確信…かと思われたが、この日は外野後方の名護湾から3~4メートルほどの逆風。打球は押し戻されて中飛だったが、ファンからは夢が詰まった放物線への拍手が鳴りやまなかった。
新庄監督は試合後に「あれ、普通の風だったら(本塁打)いっていますね。自分の形で振れるのがすごい」と大絶賛したが、柴田だけは悔しがっていた。「感触的には悪くなかったけど、やっぱり伸びなかったのでパワー不足。風に負けないパワーをつけたい」。まだまだと自負するからこそ、試合前のルーティンとしているメジャーの強打者らの打撃映像を見るイメトレも工夫していた。
この日は「日本の時の大谷さん」の打撃映像も見たという。理由は「メジャーの大谷さんは完璧。でも、NPB時代はまだまだじゃないですか? 自分も今、完璧になろうとしても絶対無理。ちょっとでも近づけるようにNPB時代を見て何か取り入れられるものがないかなって」。
自分の現在地に合う“参考資料”が日本ハム時代の大谷の打撃映像。目で見て、頭で理屈を理解できる選手は多くても、体現できてしまう選手はあまりいない。そこに非凡さがある。
17日には投手として初のブルペン投球も予定する。「自分の能力が、この紅白戦の1打席である程度、把握できた。やっぱり体を鍛えずにはいられない。そこをメインでやっていく」。1年目の目標は「身体強化」。風に負けた“プロ初打席”を、新たな伝説の序章とする。【木下大輔】