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<新戦力ぜよ>
<阪神紅白戦:白組3ー5紅組>◇9日◇沖縄・宜野座
支配下枠争いにダークホース急浮上! 阪神育成左腕の伊藤稜投手(25)と育成右腕の松原快投手(25)が9日の紅白戦で好投し、支配下登録へ猛アピールに成功した。青柳のフィリーズ移籍により、支配下枠の空きは4に増加。育成選手勢の競争が激化の一途をたどっている。
伊藤稜は5回裏、紅組4番手で登板した。ゆったりしたフォームから150キロ超の直球を軸に1回を1安打無失点1奪三振。「もう育成4年目。後がない気持ちで投げました」と力を込めた。この日の最速はスカイAの球速表示で154キロ。まだ寒さの残る2月上旬にもかかわらず、18球中5球が150キロ越えだ。
入団から2年間は左肩痛の影響で実戦登板すらなかった。昨年7月に2軍で実戦初登板。それからわずか7カ月後、藤川監督のお眼鏡にかなう熱投だ。本人は「久しぶりに(150キロが)出ました」と謙虚に振り返ったが、指揮官は「漆原と、育成の松原と伊藤稜ですか。危機感でしょうね。すごく感じるものがありました」とうなずいた。
松原は6回表に白組5番手で登板。右横手からダイナミックなフォームでキレのある球を投げ込み、1回を完全投球した。23年育成1位入団。昨季は2軍33試合登板で経験を積み、今季は満を持して支配下昇格を狙う。指揮官から漆原、伊藤稜とともに「輝いた選手、光って見えた選手は3名いましたね」と高く評価され、充実感が漂う。
昨秋の高知キャンプでは剛腕ベタンセスが評価を上げた。前日8日の紅白戦では福島が三塁打を放った。そして、この日は両投手が好投した。育成選手による支配下枠争いは熱気を帯びるばかりだ。
指揮官は「育成選手を重点的に見れる期間は限られている」とあらためて危機感を促した上で「松原と伊藤はオープン戦に帯同できるんじゃないかと思います。これは見たらわかるので。ボールがいいので」と見通した。誰が2桁背番号をつかみ取るのか。南国のアピール合戦から目が離せない。【山崎健太】
▽阪神安藤投手チーフコーチ(伊藤稜ら具志川キャンプメンバーの投球に)「具志川組も順調にきている。いいモノを見せてもらいました」
◆虎の支配下枠争い 青柳のフィリーズ移籍に伴い、支配下枠の空きが4つに増加。増えた1枠について藤川監督は「選手を上げるつもりでいる」と明言しており、計14人の育成選手で争う。昨秋キャンプでアピールに成功したのは最速161キロを誇るベタンセス。今春は育成勢で唯一の宜野座キャンプスタートとなっている。8、9日の紅白戦では快足自慢の福島や新外国人アルナエスが打撃でアピール。投手陣では松原、伊藤稜が指揮官の高評価を勝ち取った。
◆伊藤稜(いとう・りょう)1999年(平11)11月8日、愛知県豊明市生まれ。中京大中京では1年夏、3年夏に甲子園出場。中京大に進学した後、21年育成ドラフト1位で阪神に入団した。入団直後からは左肩痛に苦しみ、昨年7月に日本生命とのプロアマ交流戦でプロでの実戦初登板。24年のウエスタン・リーグは7試合に登板を果たした。178センチ、85キロ。左投げ左打ち。
◆松原快(まつばら・かい)1999年(平11)8月24日、富山県黒部市生まれ。富山・高朋高を卒業後にロキテクノ富山で4年間プレーし、日本海リーグ・富山GRNサンダーバーズに移籍。23年育成ドラフト1位で阪神に入団した。スリークオーターから最速156キロの直球を投げ込む。プロ1年目の昨季はウエスタン・リーグ33試合に登板し、防御率4・31。180センチ、91キロ。右投げ右打ち。