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東京学館新潟高サッカー部のFW長谷川龍神(りゅうじ、3年)が、今季J3に初参入する栃木シティ(C)のアカデミー、U-25(栃木県社会人リーグ1部)に入団する。
高校卒業後は総合格闘技転向を視野に準備を進めていたが、一転してサッカーで上を目指すことを決断した。強靱(きょうじん)なフィットネスと決定力。そして、最大速度34キロという爆発的なスピードを生かし、トップチーム昇格を目指す。
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長谷川は圧倒的な走力で相手を置き去りにし、左右両足で豪快にゴールネットを揺らすストライカーだ。最高速度は34キロ。欧州ではトッテナムDFミッキー・ファンデフェン(23)が37・38キロをマークするが、昨季のJ1では現湘南MF藤井智也(26)とG大阪FW山下諒也(27)が35・4キロでトップ。高3時点でJのスピードスターに迫る爆発力を持つ。
主将マークを巻いて出場した24年度の全国選手権県大会で東京学館新潟の8強進出の原動力となり、U-17新潟選抜の一員として臨んだ昨年9月の国際ユースサッカーin新潟ではペルー戦で1得点。他を圧倒するスピードで観客を沸かせた。「同世代の海外選手に対しても『俺が勝ってるな』と感じた。自信を持って次のステージに進みたい」。
サッカーは高校で辞めると決めていた-。新潟県と福島県を結ぶ自然豊かな阿賀町の出身。「中学時代に自転車で傾斜の激しい道を通学していたぐらい。多分、生まれつき(笑い)」と特別なトレーニングはしてこなかったが、人並み外れたスプリント力を搭載する。そのスピードにほれ込んだ複数の大学からオファーが届いたが、本人の希望は幼い頃から好きだった「総合格闘家」一本。全てに断りを入れ、所属先のジムを探していた。
そんな気持ちが変わったのは、同校OBで、海外でプレーする石川大雅さん(22)からの「(サッカーを)辞めるな。お前ならプロでも勝負できる」というひと言だった。昨年12月中旬、栃木C・U-25のシーズン最後の練習に参加し、8対8のミニゲームで得点するなどアピールに成功。実力で契約を勝ち取った。「今はもうサッカーでやっていくと決めた。甘くない世界だけど、やるからには上を目指す」。決意は固い。
身長は170センチと大柄ではないが、小林健太朗監督が「暇さえあれば筋トレをしていた」と明かすように、全身の筋肉は大きく盛りあがっている。長谷川本人は「体質的に筋肉がつきやすい。サッカーのため、というより格闘技のためだった」と笑うが、ピッチ上では自分より上背のある相手を腕一本で抑え込み、ダイナミックにゴールを奪いきる。
栃木県社会人リーグ1部を戦うチームへの合流は4月を予定。企業で働きながらサッカーに取り込むアマチュア契約から、今季J3に初参入するトップチームへの昇格を狙う。「全てがアピールの場。社会人リーグの得点王を取る活躍をして、U-25の勝利に貢献したい。その先に(トップ昇格が)あれば」。生まれ持った走力の才能を栃木Cで伸ばし、日本サッカー界に欠かせないFWになる。【小林忠】
◆長谷川龍神(はせがわ・りゅうじ)2007年(平19)3月7日生まれ、阿賀町出身。三川小2年で阿賀FCに入団してサッカーを始め、三川中1~3年はEPOCH横越に所属。東京学館新潟では1年春からトップチームでプレー。23年新潟県国体少年選抜。24年U-17新潟選抜。170センチ、68キロ。利き足は右。
小林健太朗監督は、長谷川のスピード、得点感覚、身体能力に「今まで見てきた選手の中でポテンシャルは飛び抜けている」と太鼓判を押す。中学時代に県選抜に選ばれるなどの実績はなかったが、高校で能力を引き出し、開花させ、最終学年の24年度は主将を託した。「多くを語るタイプではないがプレーと背中で引っ張っていくタイプ。チームメートからの信頼は厚かった」。
複数の大学が興味を示す中、進路は「総合格闘家」だったが、昨年12月中旬に本人が桜井祥広コーチに「サッカーに行きたい」と伝えた。その後、栃木C・U-25に練習参加して首脳陣の目に留まった。小林監督は「本人の努力次第で上のレベルに行ける力はある。どんな状況でも自分を見失わずに頑張って欲しい」とエールを送った。
◆栃木シティ ホームスタジアムはCITY FOOTBALL STATION(5129人収容)。チームの前身は旧大平町(現栃木市)の日立製作所栃木工場(現日立グローバルライフソリューションズ栃木事業所)で1947年に発足した日立栃木サッカー部。栃木ウーヴァFCに名称を変更した2010年にJFLに参戦も、下位に低迷し17年に関東リーグに降格。18年にクラブの運営体制が変わってプロチームになり、トップチームは昨季、JFL昇格1年目で初優勝し、今季J3に初昇格。U-25は栃木県社会人リーグ1部。