“掛布打法”完成に糸井SAが太鼓判だ。阪神佐藤輝明内野手(25)が、沖縄・宜野座での春季キャンプ2日目の2日、ランチ特打で豪快な柵越え16本を披露。昨秋から取り組む新打法で、うち11本を中堅から左翼方向に運び、かつて甲子園の浜風に乗せてアーチを量産した掛布雅之をほうふつとさせた。臨時コーチを務める糸井嘉男スペシャルアドバイザー(SA=43)は新打法でのアーチ量産を確信。5年目佐藤輝に大ブレークの予感だ。
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キャンプ最初の日曜日。集まった子どもたちに佐藤輝が応え続けた。ランチ特打に登場し、66スイングで16発の柵越えを披露。うち11本が中堅から左翼方向だった。子どもたちは目を輝かせ、期待であふれかえった宜野座球場。豪快な1発1発に拍手が鳴り響いた。
「あっちに、いい打球が出るのはいいこと。続けていきたいです」
かつて左中間方向へのアーチを量産した、掛布雅之をほうふつとさせる放物線の連続。右翼から左翼方向に吹く甲子園の浜風に打球を乗せる“掛布打法”だ。プロ4年間の経験から、引っ張りだけでは、さらなる進化にはつながらないと感じていた。「(右翼から左翼まで)90度あるので、しっかり使えたら。もちろん引っ張りもいるけどそっちばかりじゃダメなので」。昨年11月の高知・安芸での秋季キャンプから、中堅から左翼方向を意識した打撃に改良。オフも練習を継続し、今春のキャンプでも新打法習得に好感触を得ている。
強力な援軍も現れた。この日から臨時コーチとして参加した近大の先輩、糸井SAのもと、特殊な2種類のティー打撃を実践した。ひとつは自身も昨秋の自主トレから取り組んでいた「クリケットバット」を使った練習法。打球面が平たいため「(バットの)面で打つ意識」を養うことができるという。もうひとつは糸井SAが「超人ボール」と命名する、通常より重いボールを使った練習法だ。「押し込んで打つ」感覚を鍛えられる。どちらも中堅から左翼方向への1発増につながる、とっておきの秘策だ。
糸井SAも掛布打法マスターに太鼓判を押した。「彼の特徴は左中間へのホームラン(を打てること)。仮に30発打つとして、(中堅から左翼に)15本くらいは」と量産を確信。佐藤輝も「(糸井さんから)『めっちゃいい』と言われたので。自信持っていきます」と手応えを深めた。
藤川監督から新3番候補と期待される25歳の年間最多は24本塁打。今季の目標を問われ「30本100打点くらいですかね」ときっぱり言った。浜風を味方につければ、怖いものはない。ニュー佐藤輝が聖地の主役を担う。【波部俊之介】
▽ヤクルト松井スコアラー(佐藤輝について)「徐々に良くなっているんじゃないですかね。今日もどこでも入ってたし。(逆方向に入り始めると)嫌ですね。(甲子園は)こっち(ライト)があまり入らないですもんね」