本人もビックリ仰天! 阪神前川右京外野手(21)が「マッチョ化」に手応えを得た。
30日、沖縄・宜野座で行われた合同自主トレのフリー打撃で4連発を含む34スイング中9本の柵越えを披露。8割程度の力感で軽々とアーチをかけた。今オフは肉体改造に成功し、体重は約4キロ増の92キロと巨大化に成功。左翼の定位置定着を狙う若虎が、キャンプイン直前に進化した姿を見せた。
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ピンポン球のようだった。宜野座の青空に前川の打球が伸びる、伸びる。4連発を含む34スイング中9本の柵越え。右翼席後ろの防球ネットも越えていった。明らかなパワーアップに驚くのは、周囲だけではない。本人も同じだった。
「打っていて、『これで入るのか』みたいな。風がフォローというのもありますけど、いいトレーニングができたのかなと思う」
力感は「8割くらい」。フルスイングではなくてもフェンスを軽々と越えていった。「多少(体の)使い方も良くなったと思う」と手応え十分のフリー打撃だった。
昨年11月の秋季キャンプ打ち上げ時には上半身の厚みに物足りなさを語っていた。課題を胸に、オフは三重県津市の「みどりクリニック」を中心に自主トレ。低酸素下でのトレーニングなどに取り組み、約4キロアップとなる92キロに増量した。人生最重量ながら体の重みも感じていない。すっかり分厚くなった胸板を張りながら、状態の良さを口にした。
「秋よりは全然いいと思います。体のコンディショニング的にも、去年(春季キャンプ)の入りよりは全然いい」
昨季は自己最多の116試合に出場。プロ初本塁打を放つなど飛躍の1年になった。左翼の定位置定着がかかる今シーズンは井上や野口、新外国人ヘルナンデスら争うライバルは多い。好調のまま春を迎えられているからこそ、前川は気を引き締める。
「1年間継続して。もっと試合数もイニング数も増やしたい。そうなると体力も大事だと思う。そこは本当に丁寧にやりたい」
もう間もなく球春到来だ。2日間の先乗り合同自主トレを終え、いよいよ2月1日からは春季キャンプがスタートする。ここからは再度体を絞り、90キロ程度に仕上げていくイメージだ。「気を引き締めて、ケガなく飛ばし過ぎず。しっかり1日1日を頑張りたい」。さらなる進化を目指す勝負の4年目。心身ともにスキは見せない。【波部俊之介】
◆阪神の外野争い 中堅近本、右翼森下は事実上固定。残る左翼は候補乱立だが、昨年の実績から前川が1歩リード。昨季3本塁打した右の大砲・井上も魅力。新加入で内外野を守れるラモン・ヘルナンデスは争いに加われる力がある。昨年1軍デビューした野口もポテンシャルが高い。実績のある島田に小野寺、宜野座組に抜てきされた19歳井坪は食らいつけるか。