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<潜入>
走り方改革で極上ストレートを手に入れる! 阪神高橋遥人投手(29)が昨年12月に秘密特訓を敢行していた。走力アップのヒントを得るため「走りのお兄さん」として活動する「かず兄」こと村田和哉氏(35)に直接指導を受けた。YouTubeの走り方指導でも人気を集める村田氏は、左腕の能力の高さと強い覚悟を感じ、今季の2桁勝利に太鼓判。福井市内の陸上競技場で行われた秘密のトレーニングに潜入した。【取材・構成=山崎健太】
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氷点下にも迫る日本海の寒空の中、高橋は走り続けた。福井での単身トレを終え、昨年末に話を聞くと「走ることの概念が変わった」と即答した。
昨年秋に受けた「左尺骨短縮術後に対する骨内異物除去術」からの復帰を目指す中で、より進化した姿で帰還を目指す。今オフは最高の真っすぐを生み出すため、高橋はある仮説を立てた。「走力=球速&球のキレ」。自身の道を信じ、走りのスペシャリストを訪ねた。
「かず兄」こと村田和哉氏は「走りのお兄さん」として活躍する走り方の専門家だ。今オフのテーマに走力アップを掲げていた高橋はSNSで情報収集していた際、村田氏の投稿に目が留まった。知人の紹介でさっそくオファーし、直接指導までこぎつけた。「以前から村田さんの投稿はチェックしていたんですけど、実際教わったら全然違った。記憶にすごく残る」。高橋の口調からトレーニングの充実度がうかがえた。
この日は約90分間、10種類のメニューを行った。片膝をぐぐっと高いところに持っていき小刻みに上下する。地道な動きを繰り返しながら、徐々に走りに近づけていく。その中で腕振りの動作を重要視した。村田氏は「腕を振るタイミングや軌道によって体に加える力が変わってくる。より地面に力を加えるために、腕振りを大事にしています」と意図を説明。高橋も「速く走るためによく腕振れって言うじゃないですか。腕振ったら進む感覚がトレーニングでより感じるようになった」と手応え十分だった。
つかんだ手応えを投球に生かすイメージはできている。「正しい走りができれば正しい体の使い方ができているということ。腕を振ったら足が速くなるように、投球でも腕を振って球に力が伝わる感覚につなげていきたい」。鳴尾浜に戻った後も昨年末まで教わったトレーニングを復習。村田氏は高橋がメニューを実践している写真を偶然ネットで見かけ「練習通りできてます」と高橋へメッセージを送った。高橋は「日によってできたりできなかったりですね」と笑う。
村田氏は今季の高橋の活躍に太鼓判を押す。「走力向上が野球のパフォーマンス全体のアップにつながる。高橋選手が元々持っている力をさらに引き出すことができると思う。2桁勝利できると思います」。復帰するだけじゃない。進化した姿でマウンドへ帰ってくる。【山崎健太】
◆村田和哉(むらた・かずや)1989年(平元)8月30日生まれ、福井県出身、福井商では甲子園へ2度出場。法大3年時に陸上競技へ転身。卒業後、株式会社ユティック陸上競技部へ所属し、100メートル10秒29で当時の福井県記録を樹立した。引退後は「かず兄」として、小学生からプロスポーツ選手まで幅広く走り方指導を行っている。登録者数6万5000人を超えるユーチューバーとしても活躍中。