J3奈良クラブは25日、奈良・生駒郡の三郷町文化センターで新体制発表会を行った。
約280人のサポーターも参加したイベントは、浜田満社長(49)による今季の方針説明からスタート。昨季は残留争いに巻き込まれて17位に終わったが「新たなる挑戦」をスローガンに戦う今季は「プレーオフ圏内からのJ2昇格」を目標として戦っていくことを宣言した。
24日にはBGグループ(タイ)との資本提携を発表。クラブ評価額6・2億円強のうち、14・98パーセントとなる約9300万円の既存株式を譲渡し、新たな1歩を踏み出したクラブは、天然芝グラウンドの練習場を確保したことや、新スタジアム建設についての協議を始めていることなども、サポーターに説明した。
BGグループとの関係により、8日から22日までの日程でタイキャンプも実現。天然芝ピッチや立派なクラブハウスなど充実した環境での約2週間は、ハードで充実したものとなった。毎朝6時から6キロのランニングをこなし、午前と午後にトレーニングを行う日々。新主将に就任したDF鈴木大誠(28)は「多くの選手が、プロキャリアの中で最もきついキャンプだと言っていた」と話し、他の選手からも「死ぬほど走った」と繰り返されるものとなった。
ハードなメニューが課されたのは、昨季途中から指揮を執る中田一三監督(51)が、個の力とチーム力をアップさせることを目的としたため。指揮官は「気付いてもいないような能力を引き出していきたい」と個々のレベルアップを求め、チームとしても運動量が必要となる戦いを狙っていることを明かした。「アグレッシブにボールを奪いにいく選手は、昨季よりはるかに増えると思うし、高い位置でボールを奪ってのゴールは明らかに違うところ」。今季は前線からのプレッシングと、奪ってからのショートカウンターで得点を狙っていくことを想定する。そのイメージを体現するために、ベースアップが不可欠である考えを示した。
「日常をトップにふさわしい日常に変えていく」と話す指揮官の下でトレーニングを積む選手は、早くも変化を体感している。タイで行った韓国や中国のチームと練習試合を振り返って鈴木は「相手に当たる時の感覚が変わったという声を聞いた。フィジカル的な向上は絶対的にある」。現状に満足する雰囲気はみじんもないが、昨季からの変化が早い段階から見せられるようであれば、奈良クラブが今季のJ3を盛り上げる可能性は十分にありそうだ。【永田淳】