＜第97回選抜高校野球大会：選考委員会＞◇24日
予想だにしないサプライズだった。横浜清陵が21世紀枠で選出され、春夏を通じて初の甲子園出場を決めた。神奈川県勢としても同枠で初選出となった。
校長室で中継を見守り、21世紀枠として2番目に校名が呼ばれた野原慎太郎監督（42）は目を丸くした。「21世紀枠の2の字も意識せずに過ごしていました。まだ何も成し遂げていない。正攻法で甲子園に行こうとした過程を認めてくださった」と静かに感謝。選手も浮かれることなく「甲子園で勝つことが目標」と気を引き締めた。
主体的な「自治」で部の運営を進める姿勢が評価された。選手間で「内野手」「走塁」など部門ごとにリーダーを選出。週に1度、議論しながら練習メニュー練り直した。野球以外にも「親睦係」などの担当があり、学校から駅までの下校班5～6人をあみだくじで決めて、部員全員がまんべんなく会話できる環境を用意。ベンチワークの活性化につながった。
昨秋の県大会では強豪私学がひしめく激戦区で、公立校唯一の8強入り。俳優・斉藤由貴は前身の清水ケ丘出身で、SNSでは選出後に「横浜清陵」が一時トレンド入りした。春は思っていたよりも早く来た。スローガン「甲子園で勝つ」をかなえる。【佐瀬百合子】
◆21世紀枠 01年導入。推薦校は秋季都道府県大会の16強以上（加盟129校以上は32強以上）が対象。練習環境のハンディ克服、地域への貢献など野球の実力以外の要素も選考基準にしている。07年まで2校、08年から23年まで3校を選出（85回記念大会の13年と、明治神宮大会中止に伴い神宮大会枠がなかった21年は4校）。昨年から東日本、西日本の地域に関係なく2校に変更された。
◆21世紀枠初選出 神奈川県、長崎県からの21世紀枠選出はともに初めて。神奈川県勢は前回大会まで47都道府県で唯一、全国9地区から1校ずつ候補になる地区連盟推薦校に選ばれていなかったが、県勢初の9校入りから代表の座をつかんだ。
