ドジャースへの入団が決まった佐々木朗希投手(23)が22日(日本時間23日)、本拠地ドジャースタジアムで入団会見に臨んだ。
遠く、生まれ故郷の岩手・陸前高田市では長田正広さん(59)が「決まってホッとしたのもあるし、大変なのもあるかな」と自身もひと息つく。連日、盛況のようだ。
陸前高田は東日本大震災の大津波で市街地の大半が流された。かさ上げされた台地で、長田さんは中華料理店「四海楼」を営んでいる。
東日本大震災で逝去した佐々木の父功太さんとは、同じ町内会の仲間だった。当然、朗希とは少年時代から面識がある。飲み会の締めで作っていた特製の「担々鍋」は、佐々木家の大みそかの定番。辛いものが苦手な佐々木も「担々鍋だけは大丈夫です。うまいです」と太鼓判を押している。
21年のプロ初勝利の際に日刊スポーツがそのエピソードを報じたのを機に、四海楼には全国各地からロッテファンが続々と訪れるようになったという。「こないだニューヨーク・タイムズにも名前が載ったんだよ」とちょっと鼻高々だ。
「ドジャースで良かったんじゃないかなあ」とつぶやく。「朗希はあまり関係ないみたいなこと言ってたけど、大谷と山本由伸がいて。相談できる人がすぐそばにいるのは大きいよ」。長田さんと功太さんも、そんな関係だった。
懸命に働いてきたから、なかなか遠出する機会もない。「海外? オレは行ったことないよ。一番遠くてどこだろ。京都かな」。そんな長田さんが夢見る。
「行ってみたいな~、ロサンゼルス。いくらするんだろ。食費も高いべ? でもどのみち1人じゃ行けないからな。そうだ、一緒に行くべ?」
店で待っていればたぶんまた来てくれる。でも亡き友の代わりに行くのも悪くないべ-。夢を描きながら今日も明日も、中華鍋を振る。【金子真仁】