ソフトバンク柳田悠岐外野手(36)が22日、原点ともいえる存在に感銘を受けた。大分・佐伯市内で自主トレを公開。同日に米野球殿堂入りが決まったイチロー氏は野球を始めるきっかけとなった偉人で「雲の上の存在。本当にすごい。刺激とかではなく、いちファンとしてすごいなと思います」と舌を巻いた。
95年、神戸が本拠だったオリックスは阪神・淡路大震災からの復興を目指し「がんばろうKОBE」を合言葉にリーグ制覇。日本一こそ逃したが、ヤクルトと日本シリーズを戦うイチロー氏の姿に柳田少年は「『うわ、かっこいい』って。テレビで見てました」。広島で白球を追いかけるきっかけになった。名実ともに球界のスターになった野球人・柳田のスタートはイチロー氏への憧れだった。
そのイチロー氏に1歩でも近づくべく、今季は2年ぶりの全試合出場を目標に掲げる。37歳シーズンでチーム最年長となったが、まだ老け込むつもりはない。「試合に出続ける。自分に打ち勝っていきたい」。自主トレは朝9時から行うウエートトレーニングからスタート。さらに腕立て伏せ、懸垂、腹筋といった自重トレーニングも毎日100回ずつ行っているという。目指すは「かっこよくて強い体」。昨季は右太もも裏の負傷で52試合出場にとどまった。「けがにビビらず自分を追い込んでいきたい」と本気で肉体改造に励んでいる。
午後のフリー打撃では72スイング中10本の柵越えを披露。最終72スイング目には場外に運ぶ推定130メートル超の特大アーチで締めた。「順調にきてます」。今季は大型7年契約の6年目。「僕もあとちょっとしか野球をやらないかもしれない。残りの野球人生を楽しみながら」。ミスターフルスイングは悔いなくバットを振り続ける。【只松憲】