楽天ドラフト1位の宗山塁内野手(21=明大)はじめ新人ら8選手が18日、11年の東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城・南三陸町を訪れた。震災伝承館の「南三陸311メモリアル」や旧防災対策庁舎を見学し、犠牲者へ献花した。新人の被災地訪問は13年連続13度目で、同町訪問は2年ぶり2度目。東北唯一のプロ野球球団でプレーする意味を再認識する1日となった。
◇ ◇ ◇
命の尊さについて考えさせられた。震災伝承館の「南三陸311メモリアル」を見学した宗山は、真剣な表情で職員の話に聞き入った。地元住民が震災時を振り返る映像や展示物を見て回り「当時の状況だったり、実際に被害に遭われた方の話を聞くことは初めてだった。すごく強く印象に残りましたし、今の自分たちの状況が当たり前じゃないなと、あらためて強く感じました」と振り返った。
震災遺構として保存されている南三陸町旧防災対策庁舎にも訪れた。そこは15メートルを超える津波が襲い、町職員など43人が犠牲となった場所。「それからの人生もあった方々が命を多く落とされたと思うので、その方たちの思いというか、自分では計り知れないというか、たくさんの思いがあったと思います」。同期の選手たちと献花し、犠牲者に哀悼の意を示した。
震災当時は台湾から南三陸町に対して義援金などの多大な支援があった。伝承館職員から説明を聞いた台湾出身でドラフト6位の陽柏翔内野手(19=BC茨城)は「台湾人として、台湾から日本に支援があったことも今日初めて知りました。こうやって絆ができることは本当にうれしく思います」と故郷とのつながりに感銘を受けた。
3月11日で東日本大震災から14年を迎える。東北に本拠地を置く球団として13年連続で新人選手が被災地を訪問。震災の記憶を風化させないという思いは強い。「東北唯一のプロ野球球団になるので、自分たちが勝つ姿とか優勝して日本一になる姿を見てもらって感動、勇気を与えられたらなと思います」と宗山。東北への思いを強くした1日となった。【山田愛斗】