ヴィッセル神戸は17日、トップチームの全選手とスタッフの約60人が神戸市中央区東遊園地で行われた「阪神・淡路大震災1・17のつどい」に参加し、黙とうした。下部組織の選手は以前から参加してきたが、トップチームの選手がそろって参加するのは初めて。
30年前の1995年1月17日に震災が発生した時刻同5時46分に、会場に集まった市民とともに黙とう。その後は遺族の話に耳を傾けた。
震災当時、滝川二の3年生だった吉田孝行監督(47)は「あの日の揺れは忘れられない。亡くなった方の分も1日1日を大事にして生きなきゃいけない。震災とヴィッセル神戸はともに立ち上がってきた。僕たちはサッカーを通して、震災を知らない世代にも伝えられればいいし、サッカーで勇気を与えられるようなクラブになれればいい」と神戸のクラブとしての役割を担って戦う覚悟を語った。
兵庫県出身で、神戸アカデミー育ちのDF山川哲史(27)も、地元クラブとしての思いを背負って戦うことを約束。「ヴィッセル神戸は復興とともに歩んできたクラブ。自分たちがたくさんの方々に感動と勇気を与えて、少しでも前を向いて生きていく力になれるように、そういった選手、クラブになれるよう頑張っていきたい」と話した。
昨季MVPに輝いたFW武藤嘉紀(32)は東京出身だが、強い思いは変わらない。「今こうやって普通にサッカーをやっていることが幸せだということをあらためて感じた。サッカーを通して、神戸の方々に多くのパワーを与えていければいい。僕は神戸出身ではないけど、もう3年半以上いて、第2の故郷だと思っている。語り継いでいただいた思いをくみ取って、節目の年、僕たちにとっても3連覇、ACLE(アジア・チャンピオンズリーグ・エリート)と大きな戦いが待っているので、しっかりプレーして結果にこだわっていきたい」とさらなる活躍を誓った。
神戸はこの日、2月1日までキャンプを行う沖縄へ移動。気持ち新たに、チームづくりを進める。【永田淳】