阪神が今秋ドラフトに向けて「地元の星」を密着マークすることが5日、分かった。
関西圏の高校生には有望株がずらり。目玉は滝川(兵庫)の右腕、新井瑛太投手(2年)だ。投手歴1年で球速が151キロに到達。身体能力に優れ、打者として将来性を買う評価もある。昨秋ドラフトでは2位で同じ兵庫の報徳学園・今朝丸裕喜投手(18)を指名。大阪桐蔭勢も含め、25年も地元の逸材に目を光らせる。
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今年も虎のお膝元に有望株がひしめている。オールドファンにはなじみ深い兵庫の古豪、滝川の新井だ。最速151キロを誇る右腕で、阪神関係者は「伸びしろがありそうなので、当然、追っていかないといけない選手です」と断言した。
比較対象になるのは昨秋ソフトバンクに1位指名された同じ兵庫の神戸弘陵出身、村上泰斗投手(17)だという。2年秋の段階では「新井が上」と言うスカウトもいるほどだ。村上も投手歴が浅く、身体能力が抜群。サイズも似ている。最後の1年間で大きく成長し、ついには最高評価まで達した。新井も似た成長曲線を描く可能性があると見ているスカウトは多い。
野手としても魅力にあふれる。左打ちで1年時から主軸を務め、高校通算13本塁打と長打力もある。俊足強肩を生かした外野手として評価する声も上がるかもしれない。学業に力を入れる学校でもあるため、プロ志望か進学かも含めて動向を注視していく。
また、この日新年の初練習を迎えた大阪桐蔭の最速153キロ・森陽樹と同149キロ・中野大虎(ともに2年)の右腕コンビも高く評価している。阪神スカウト陣は入学直後から2人を追いかけてきた。3月のセンバツ大会には選ばれない可能性が高いため、この冬はじっくり能力を伸ばす期間にあてている。成長次第では上位候補にも挙がりそうなポテンシャルを誇る。
同じくこの日始動した東洋大姫路(兵庫)の阪下漣投手(2年)は完成度が高校生離れ。抜群の制球力とカットボールを武器にする投球スタイルで、球団内には「村上に似ている」との声も出ている。昨秋の明治神宮大会は複数人でチェックした。世代屈指の右腕を引き続きマークする。
阪神が昨秋のドラフトで指名した高校生は今朝丸1人。一方で、球団はこれからも「育成」に軸足を置いた骨太なチーム作りを進めていく方針だ。昨年エース格に成長した才木も地元兵庫出身の高卒投手。地元で光る原石を見逃すわけにいかない。
◆新井瑛太(あらい・えいた)2007年(平19)10月26日生まれ、神戸市出身。小束山小1年から小束山少年団で野球を始める。多聞東中では明石ボーイズに所属。外野手でタイガースカップ出場。滝川では1年夏から主軸を打つ。1年秋から投手に本格転向。2年夏の兵庫大会は2回戦で神戸国際大付に惜敗。同秋は県1回戦敗退。179センチ、78キロ。右投げ左打ち。
◆阪下漣(さかした・れん)2007年(平19)7月5日生まれ、兵庫県西宮市出身。浜脇小2年から浜脇タイガースで野球を始める。浜脇中では西宮ボーイズに所属。東洋大姫路で1年春からベンチ入り。同秋からエース。2年夏は兵庫大会ベスト4。2年秋は県優勝、近畿大会は2連続完封などで頂点に導き、明治神宮大会4強入り。l83センチ、86キロ。右投げ右打ち。
◆中野大虎(なかの・だいと)2007年(平19)6月18日生まれ、大阪府和泉市出身。5歳からソフトボールを始め、幸(さいわい)小6年時から大阪泉州ボーイズで硬式野球に。富秋中では浜寺ボーイズに所属し、3年春に全国大会出場。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。甲子園初登板だった昨夏の興南戦で完封勝利。180センチ、79キロ、右投げ右打ち。
◆森陽樹(もり・はるき) 2007年(平19)8月1日生まれ、宮崎県延岡市出身。川島小1年時に東海東クラブで野球を始め、聖心ウルスラ学園聡明中では全日本少年夏季軟式野球大会に出場。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。昨夏の甲子園2回戦・小松大谷戦に先発し、7回2失点(自責0)。目標の選手は佐々木朗希。190センチ、88キロ。右投げ左打ち。