<新春ハマの番長>
DeNA三浦大輔監督(51)が「完全優勝」に挑む。24年はリーグ戦3位に終わりながらも、CSファーストステージから破竹の勢いで勝ち進み、26年ぶりの日本一を達成。南場智子オーナー(62)の言葉からもヒントを得て、就任4年目で初タイトルを勝ち取った。新年を迎え、三浦監督が舞台裏や思いを語ってきた連載「月刊ハマの番長」の特別編「新春ハマの番長」を寄稿。3位の悔しさと日本一の歓喜を同時に味わった24年を振り返るとともに、27年ぶりのリーグ優勝と日本一連覇へと挑む新年への思いを語った。【取材・構成=小早川宗一郎】
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■25年完全優勝へ
日本一連覇に挑む、勝負の1年の幕が開いた。三浦監督は、昨年までの4年間の歩みを振り返りながら、視線を新たな年に向けた。
「1年目のチームスローガン『横浜一心』は心を1つにして戦うというものでしたけど、2、3、4年目も継続して常にコミュニケーションを続けてきました。それが完成したわけではなく、まだまだこれからも進化し続けていかないといけないと思ってます。リーグ優勝から日本一という完全優勝に向けて、今季チーム一丸で戦っていきたい」
24年は、指揮官にとって忘れられない1年となった。98年以来、26年ぶりの日本一。念願のビールかけも、パレードも格別だった。
「ハマスタ(の屋内練習場)でのビールかけ、いやもう最高の気分でしたよ。もうこれがやりたくて…。酒は弱いけど、おいしかったですね。ビールも飲んだし、浴びるようにというか浴びましたからね。思いっきりはしゃぎました。みんなで喜びを分かち合う、最高の時間でした」
ただ、同時に3位に終わったリーグ戦の悔しさも消えてはいない。
「24年を振り返れば悔しさもあり、うれしさもありというところ。でも、3位からでも、決められたルールの中で日本シリーズから日本一、優勝を達成できました。CSからも戦いながら1試合ごとにチームが進化、成長していき、そのスピードがすごかったです。だから取材でもよく言ってましたけど、明日のことは考えないでとにかく今日の試合、全員で出し切ろうと。それを選手だけでなく、チームスタッフ、コーチ、ベンチ外の選手もみんなやってくれたと思います」
日本一を達成した後は、スマートフォンが鳴りやまなかった。数千件を超えるラインとメール、電話、祝電、お祝いの花が、数え切れないほど届いた。
「たくさんの方からお祝いのお言葉をいただいてうれしかったです。お花は球場にもそうだし、球団事務所にも自宅にも。お花屋さんができるぐらいいただきました(笑い)。メールとラインは全部返しました。2、3日かかりましたけどね」
南場オーナーとは監督就任から月に1度、ミーティングを開いて、コミュニケーションをとってきた。そこで新たな発見やヒントが得られることが多かった。
「オーナーと話をしていると、監督業としてもヒントになることがたくさんあります。『選んだ方を正解にしてる』という話とか。采配にしてもそうですけど、正解は分からないことですから。結果が出る、出ない、じゃなく、選んだ方を正解にしていって、それをどんどん決断していくというのは、意識しながらやらせてもらいました」
監督業5年目を迎える今季は、12球団でもヤクルト高津監督に次ぐ長期政権となる。
「結果が全ての世界ってよく言われますけど、その中身も大事。打撃も投球もそうですけど、この打ち方をすれば絶対3割打てる、この投げ方をすれば絶対勝てるというものはないので。先ほどの南場オーナーの話にもつながりますけど、正解がない。AとBでBを選んで結果が出なかったらAが正解だったのか? というと、そうじゃない。両方不正解かもしれないし、もっと悪い結果になったかもしれない。監督就任当初はその負のサイクルに陥ってしまってました」
後悔しても、振り返っても正解は分からない。毎日、毎日切り替えてやってきた。
「数字も非常に大事なことですけど、数字だけじゃ測れないものもあります。数字だけだったら、ソフトバンクとDeNAのリーグ戦の数字を比べたらそれで終わり。見てる方もみんなそれをひっくり返そうと思いながら、それが実際できたわけですから。数字以上のものは出せたと思うし、数字以上の何かがあるからこそ野球の面白さがあり、それが野球の魅力かなと」
その感動を、みんなでもう1度。
「だからこそ盛り上がる。感動してもらえる。感動する。大の大人が涙して喜ぶ。50歳を超えてもビールをかけてはしゃぐ。それはそういった魅力、面白さ、難しさがあるからこそ喜べる、感動できたかなと思います」
リーグ制覇から日本一連覇へ-。番長が今年も、横浜を熱くする。