<全国高校サッカー選手権:西目1-6日章学園>◇29日◇1回戦◇フクアリ
令和の“半端ない伝説”が幕を開けた。日章学園(宮崎)のU-19日本代表FW高岡伶颯(れんと)主将(3年)が、前半だけでハットトリック。5得点に絡み、西目(秋田)戦の6-1に導いた。過去2大会は無得点で初戦敗退も、イングランド・プレミアリーグのサウサンプトンに高卒即内定をつかみ、チームを勝たせるエースへの成長を証明。08年度の1大会最多得点記録(鹿児島城西・大迫勇也の10)を倍で更新する「20得点」の目標へ好発進した。31日の2回戦は矢板中央(栃木)と対戦する。
◇ ◇ ◇
1、2年時の悔しさを晴らす圧巻のゴールショーだった。前半の10分に右足、17分に左足、追加タイムにはセットプレーから頭で押し込み、引き出しの多さを披露。前半だけで3得点&1アシストした。後半は、チームの追加点こそ自身がアシストした1点にとどまったが、個人としては3年目でようやく、全国選手権初勝利&得点を手にした。
「点が取れたことは、すごくうれしい。でも、自分が今までやってきたことからすれば4点、5点、6点と全然いけたし、4、5、6点と、それ以上を取れる選手だと思っているので。そこは次の試合でもっと見せていきたいと思います」
そう満足しなかったように、目標をあえて高く置くことで、自らを奮い立たせるタイプだ。大迫が08年度に打ち立てた歴代最多の1大会10得点の倍を目標に掲げる。20ゴールへ「今まで(選手権で)無得点ですけど。自分がやってきたことが自信につながっていて。自分としては20が普通だと思っている」とサラリ。「大迫選手が10得点で、その倍をいく意味でも、倍の選手であると証明したい」と臆することなく口にする。
決勝まで最大5戦で17得点と壁は高いが「プレッシャーも当然あるし、あと5試合で20得点いけるのか、という声も逆にうれしい。もっと注目してもらってプレッシャーをかけてもらいたい」。メンタルは既に中途半端さを感じさせない。
今年4月にサウサンプトンのU-18、U-21チームの練習に参加し、内定をつかみ取った。トップチームでは18歳のFWディブリングが先発出場するなど同世代が活躍中。「練習で一緒にやらせてもらったんですけど、すごくいい選手。でも、自分の方がもっと上になると思う。日本一になって飛び立ちたい」。選手権を通過点に世界へ向かう。
次戦は、堅守を誇る「赤い壁」矢板中央と戦う。ユニホームは同じ赤と黒だが「日章(学園)の方が赤が強いと思う」と“高岡節”で。「粘り強い矢板の壁はあるとは思うけど、ぶっちぎって勝ちたい」とキッパリ。168センチながら、この日の3点目を武器のジャンプ力を生かしたヘディング弾で沈めており、手応えしかない。令和の“半端ない伝説”を、矢板の鉄壁に刻み、打ち破るイメージはできている。【岩田千代巳】