<記者のボルダリングトレ体験記>
力強く、這い上がる-。阪神湯浅京己投手(25)が独自で続けている「ボルダリングトレーニング」に潜入した。
兵庫・西宮市内のジム「OLD BUT GOLD」に今年9月から通っている。国指定の難病である「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」の手術後、リハビリも兼ねて継続。神経伝達の改善や筋力アップ、気分転換など多方面で効果は抜群だ。実際の練習を見学&体験し、取り組みへの思いを聞いた。
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軽々と登る湯浅とは対照的に、記者はプルプルと腕を震わせながらの1段1段だった。貸し出された専用シューズを履き、滑り止めのチョークを両手に付けて準備。各ホールド付近には色付きのシールが貼られており、同色の目印に沿って登っていくルールだ。
体験したのは初心者向けの「桃色」コース。まずは両手でスタートのホールドを握りこみ、足をかけながらゴールを目指す。しかし形も大きさも違い、モノによってはつかめるような形をしていないホールドもある。指の力が相当重要になり、それに伴い前腕にも力が入る。何度も落下しながらゴールを目指した。
感じたのは、事前にルートをイメージしてから登る必要があるということだ。実際、湯浅も、何度もオーナーの石塚さんに登り方の助言を求めていた。「どのホールドを使う?」。「どこに足をかける?」。記者もイメージ通りに体を動かせたとき、初めて登り切ることに成功。思い通りに体を動かす「身体操作能力」を鍛えるトレーニングになると実感した。
体験後は運動不足もあり、全身筋肉痛。指で全身を支えるため、特に前腕はパンパンだった。それでもゴールまで登りきった時の達成感は格別。またトライしたい、楽しい競技だった。【阪神担当=波部俊之介】