阪神は19日、前フィリーズの最速158キロ右腕、ニック・ネルソン投手(29)との契約締結を発表した。1年契約で年俸90万ドル(約1億3500万円)で背番号42。来季の新外国人補強第1弾で、藤川球児監督(44)はリリーフで起用する方針を明かした。同日、現役ドラフトで巨人から移籍した畠世周投手(30)は西宮市の球団事務所で入団会見。DeNAから加入した楠本泰史外野手(29)に続く日本人補強第2弾だ。大型補強の巨人に負けじと、救援陣のダブル獲得で最強ブルペン陣の構築を進める。
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藤川阪神の新助っ人1号となったネルソンは球団を通じて、興奮の第一声を届けた。
「シーズン前にこんなにワクワクしたのは初めて。新しいチームメートや監督、コーチらと早く仲良くなって、優勝に貢献したい。日本語を学んだり、おいしい食べ物を試すのも楽しみ。日本の野球はとてもレベルが高いことは知っているので、挑戦が楽しみです」
最速158キロを誇る右腕はヤンキースやフィリーズで活躍。大谷翔平との対決は22年の1度だが、チェンジアップで空振り三振に仕留めている。変化球も多彩で、今夏から本格的にナックルボールも使い始めた。日本では使い手が少ない、速く不規則に揺れる“魔球”は大きな武器になる。
メジャー74試合登板のうち先発は4試合。両構えできるタイプだが藤川監督はリリーフで起用する計画を明かした。「中継ぎですね。球速的には先発をやると少し落ちる。集中してやってもらう」。救援適性を発揮して大ブレークした自身と同じように、短いイニングで爆発力を発揮させる。
最強ブルペン陣の構築に前進した。同監督は自身の経験も踏まえ、何度もリリーフ陣の重要性を説いてきた。ライバル巨人が中日の守護神マルティネスを獲得した際には「非常に楽しみ」とブルペン対決にも意欲を示した。「ジャイアンツの補強を見て分かる通り、どう守るか、どう切り抜けるか、自チームの選手を持ってこられるかが大事なので」。現役ドラフトの畠も含め、構想に沿ったピースを着々とそろえている。
嶌村球団本部長は「まずは直球の力強さを求めた。この選手を取れて良かった。ストロングポイントを強くして、12球団の中でうちの優位性を保つという考え方」と獲得の背景を明かした。FA権を取得した大山、坂本、糸原、原口の4選手は全員残留。193センチ、102キロの右の大砲、ラモン・ヘルナンデス内野手(28=メキシカンリーグ)、奪三振率が高い先発候補のジョン・デュプランティアー投手(30=前ブルワーズ)の新外国人2人とも、契約のメドが立っている。嶌村本部長は「すべてが順調。チーム編成は最終コーナーを回っています」とにんまり。藤川阪神のV態勢が整ってきた。【柏原誠】
◆ニック・ネルソン 1995年12月5日生まれ、米フロリダ州出身。ガルフコースト・コミュニティー大から16年ドラフトでヤンキースと契約。20年8月1日に中継ぎでメジャーデビューし、初勝利も挙げた。ヤ軍では田中将大と同僚。22年からフィリーズでプレー。メジャー通算74試合中先発4試合、救援70試合。今季はフィリーズ3Aでもプレーし、34試合で2勝5敗、防御率6・13だった。185センチ、92キロ。右投げ右打ち。