朝日新聞編集委員の高橋純子さんが22日、TBS系「サンデーモーニング」(日曜午前8時)に生出演し、19日に98歳で亡くなった読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄さんについて評した。
米国取材中の膳場貴子に代わり司会を務めるTBS駒田健吾アナウンサーは「記者という範疇を超えて、プレーヤーとしても活動した」と、渡辺さんの政財界などへの影響力について言及。話題を振られた高橋さんは「功罪ある、ただ傑物であった。いい意味でも悪い意味でも傑物であった、ということは間違いないと思います」と、抜きんでた力を持った人であったと評した。
高橋さんは「軍隊経験を持っていらっしゃるので、近年、歴史修正主義が吹き荒れる中でも、そこにはくみしない、と。靖国参拝、首相が靖国参拝するのはおかしい、というきちんと論陣を張っている。これを最大部数を誇る読売新聞がその一線を守ったことの意義は大きいんだろう、と思います」と評価した。
ただ「一方、ジャーナリズムの本分は権力監視なんですよね。ただ渡辺さんは、自分自身が権力になってしまった。そして政局を操るプレーヤーになってしまった。これはやはり、ジャーナリストとしては一線を踏み越えている。これは罪は大きい、と私は思います」と指摘した。
渡辺さんが生前、朝日新聞のインタビューに「読売新聞の社論を実行できる内閣になるなら悪いことではない。そういう内閣に知恵を授けて具現化するのは、私にとっては正義である」と語ったとも紹介。高橋さんは「それは合理的なことなんだ、とそこまで公言してはばからない。プロ野球の問題とかでは“ナベツネ節”みたいなことでくくっていいのかもしれませんけど、ことジャーナリズム、ということに関しては、とても“ナベツネ節”みたいな生易しいものではない」とした。
その上で「私たち、同じ業界にいるものとしては、ずっと考え続けて、功罪について見つめ続けていく必要があるという風に、私は思っています」とまとめた。