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渡辺恒雄氏「分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が」04年球界再編問題で発言/語録


巨人軍オーナーであり、読売新聞の主筆を務めた渡辺恒雄氏が、2023年10月に98歳で死去しました。彼は野球界のみならず、日本のスポーツ界やメディアに多大な影響を与えた人物として知られています。ドラフト制度の撤廃を提案し、新リーグの構想を打ち出したり、Jリーグを批判するなど、数々の議論を巻き起こしました。また、巨人軍の経営にも積極的に関与し、選手や監督への厳しい意見を述べ、多くの名言を残しました。その一方で、選手たちへの敬意も示し、特にイチロー選手や松井秀喜氏とのエピソードが語り草です。彼の言葉や行動は、常にスポーツの在り方や、巨人軍の方向性を問い続けるものでした。

03年10月、12球団オーナー会議後、大勢の報道陣に囲まれ、慌しく質問に答える巨人の渡辺恒雄オーナー

読売新聞の渡辺恒雄主筆(98)が19日未明、死去した。

【渡辺恒雄氏語録】

◆93年3月 ドラフト制度の撤廃を主張し、新リーグ構想を明かす。「巨人、西武の2球団だけじゃない。6球団で新しいリーグをつくればいい。(西武の)堤さんとそういうことを含めて話をして、一緒にやっていこうと」。

◆94年12月 Jリーグ川淵チェアマン(当時)を批判。「1人の独裁者が、空疎で抽象的な理念だけを抱えてはスポーツは育たない。Jリーグ規約ではいかなる場合でも裁判にかけられない。こんなバカな規約があるか。憲法違反だ」。

◆95年6月 巨人のふがいない試合に激高。「話にならん。全員1割減俸だ。クソ食らえだ。ふざけんな。相撲部屋に連れて行ってけいこさせないとな」。

◆97年9月 FA資格を取得した桑田の大リーグ移籍について。「オレが肩代わりしている17億の借金はどうなるんだ。そのへんをクリアしてから考えてみてほしいな」。

◆98年1月 前立腺(せん)がんで手術を受けると公表。「僕から見れば盲腸の手術みたいなもの。手術2日目から歩行訓練する」。

◆98年11月 読売新聞がJ1川崎(現東京V)からの撤退するまでの経緯を文書で発表。「Jリーグは今年、6シーズン目を迎えましたが、所属する18チームの全てが莫大(ばくだい)な赤字に苦しんでいる状態です。これは(中略)川淵チェアマンの誤ったリーグ運営の結果であります」。

◆00年5月 代打に甘んじている清原について。「能力があればスタメンだ。ダメなら仕方ない。邪魔しなければいい」。

◆00年9月 オーナーになって初めてのリーグ優勝に目を潤ませる。「男が泣くチャンスは一生に1度か2度だけだからな。それにしても長嶋というのはメークドラマな男だ。ドラマチックすぎる」。

◆02年10月 日本メガネベストドレッサー賞を受賞。「昔のメガネはガラスでできていて、よく割れた。学校の先生を殴ってメガネを割ってしまった思い出がある」。

◆02年11月 獲得に乗り出した近鉄中村を獲得出来なくなり「(中村が)巨人のクリーンアップで三塁に立ってみろ、子供が(髪形を)まねしたらどうするんだ。本音を言えば、ああいうタイプの人間はいらない。いなくても勝つ」。

◆03年9月 辞任する原監督、新たに就任する堀内監督と記者会見に出席。「今回は原監督の辞任、解任とかいう問題ではなく、読売グループ内の人事異動だと思っています」。

◆04年3月 長嶋元監督の入院に「無理させちゃいかん。こういうときは花1本も贈ってはいけない。邪魔なだけだ」。

◆04年6月 堀江貴文氏が社長を務めたライブドアの球団経営参加について「知らない人が入るわけにはいかないだろう。僕も知らないような人が。そう簡単に、金さえあればいいってもんじゃないよ」。

◆04年7月 球界再編問題に関連し、選手会の古田会長がオーナー陣との直接会談を求めたが、と聞かれ「分をわきまえなきゃいかんよ。たかが選手が。たかがといっても、立派な選手もいるけどね。オーナーと対等に話をするなんて協約上根拠は1つもない」。

◆05年6月 オーナー辞任から約10カ月で巨人球団会長に復帰しコメントを発表。「巨人軍は今歴史的な危機を迎えています。グループ各社の強力な巨人支援態勢を確立するため、私は巨人軍の経営に復帰、参画することにしました」。

◆06年3月 WBC日本代表チーム壮行会でイチローと対面。「イチロー君は野球選手としてだけじゃなく人間としても素晴らしい。32歳の若者に80歳の老人が教えられるよ」

◆07年10月 クライマックスシリーズ第2ステージで3連敗を喫して敗退。「制度がよくない。リーグ優勝はなんの意味もない。おれがオーナーの時は絶対に反対した」。

◆08年4月 北京五輪本戦でチームから選手を輩出する件について「また五輪でも、人を出すんだから。勝てるわけないだろう。(レギュラーシーズンは)3位でいい。しかし日本一は取る」。

◆08年8月 北京五輪で4位に終わった日本代表に対して「韓国とかキューバとかは選手がハングリーなんだよ。その点は日本の選手が少し甘ったれてるから、いい勉強になったと思うよ」。

◆09年3月 WBC連覇を成し遂げた日本代表にコメント。「イチローは35歳で峠を越したかと思ったが、最初に1発打って、試合を決めてくれた。長嶋の天覧試合のホームランに次ぐ、歴史的な出来事だよ。スーパースターだね」

◆10年3月 行政刷新会議の事業仕分けに言及し、その上で「巨人は1番じゃないといけない。2位じゃいけない。それが巨人に与えられた宿命です」

◆11年3月 激励会「燦燦会」で、セ・リーグの開幕について「開幕戦を延期するとかしばらくやめるとか俗説もありましたが、この前の戦争に負けた後、3カ月で選手、監督から試合をやりたいと声が出て、プロ野球をやった歴史がある」。

◆11年9月 13年WBC参加に関して、日本の徹底抗戦を主張。「最初から妥協したらダメだ。なんでいちいちメジャーに屈服しなきゃならんのか」。

◆11年10月 横浜の球団売却を巡る問題で「モ、モグ、モガベーか? 本当に何も知らんのだよ。携帯電話でゲームが出来るのか? 85歳の活字人間だからそういう幻みたいなこと分からんのだよ」。

◆11年11月 元GM清武英利氏による告発問題で「こっちが法廷にもっていくよ。10人ね、最高級の弁護士を用意してる。法廷ならわが方のもっとも得意とするところだ。俺は法廷闘争負けたことがないんだ」。

◆12年10月 セ・リーグ優勝祝賀会で「今季は86勝した。実は私は86歳。最初は(低迷して)はらはらさせて、最後は86に合わせてくれた。感激もひとしお」。

◆13年1月 引退を表明したばかりの松井秀喜氏を次期監督の最有力候補に指名「原君の後すぐっていうのがいないんだよ。松井君が最適だよね」。

◆13年9月 野球の五輪種目復活へレスリングを引き合いに「国家的見地に立って、野球を繁栄させようとしたら、ルールも変えてもいいから。国際競技になるように。レスリングはそれで成功したわけだから。オリンピックに野球が出るようにならないといかんよ」。

◆15年3月 自身が転倒で入院した経験を引き合いに「選手(のケガ)は一生懸命頑張ろうと思った結果。言えた義理はない」。

◆16年7月 7日阪神戦で完敗し4位に後退。「(高橋)由伸の責任じゃねえ。補強せず今の陣容で勝てと言っても無理。長嶋もワンちゃん(王)もボロボロになったのを引き受けて負けている。ボロボロを引き継いでも勝てるわけねえ」。

◆17年3月 「燦燦会」総会でV奪還による景気回復を期待。「巨人が勝たんととにかく景気が良くならん。巨人軍の健闘が始まりますから日本の経済成長、政治力を強めるためにいろいろご協力いただきたい」。

◆18年3月 激励会でオープン戦首位を評価。「昨年の今頃オープン戦で最下位だったが、今年は打って変わってトップ。ゲレーロさんはもう5本塁打、若い岡本くんが打点トップ。どう考えても非常にホープフルで去年のように皆さんを1年通じてがっかりさせることはない。優勝祝賀会を皆さんと開きたいので、ひとつご期待いただきたい」

◆18年3月 「燦燦会」総会で「監督を長嶋さんは15年やった。高橋君は若いし、2年しかやっていない。10年以上やるつもりで、優勝を10回やって長嶋さんの記録を塗り替えることを期待しています」と高橋監督を激励。

◆18年7月 読売新聞東京本社で巨人高橋監督から前半戦の報告を受けた後、東京ドームで広島戦の快勝を見届け「高橋はよく見ている。1人1人(の選手を)全部知っている。名監督だよ。監督はよくやっている。いい選手もいる。ただ足りないよね。もっと強化しないと。圧倒的に勝つようにね」。

◆18年8月 読売新聞グループ本社広報部を通じ「自宅で転倒して頸椎(けいつい)の一部を骨折し、入院しています。幸い脊髄に損傷はなく、すでにリハビリを始めています」とコメント。8月中旬に頸椎の一部を骨折したが、一般病棟で治療を受けながら業務書類に目を通すなど順調に回復している、と公表された。

◆19年3月 「燦燦会」総会で胆石のため入院した長嶋茂雄終身名誉監督について「優勝してくれたら私は長嶋くんをおんぶして連れてきますよ。彼は僕よりも若いし不屈の精神力を持っている。必ず戻ってくる」。

◆19年11月 中曽根康弘元首相が死去したことを受けてコメントを発表。「私にとっては親の死と同様のショックです。彼以上に敬愛した人物はいない」。

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