23年MVP右腕が高らかに逆襲宣言だ。阪神村上頌樹投手(26)が13日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約交渉に臨み、1300万円増の年俸8000万円でサインした。今季は防御率2・58ながら7勝11敗と負け越し、オフは「空振りを取れる直球」の復活に取り組む。藤川監督の現役時代をほうふつさせる「火の玉ストレート」を習得すれば、目標とする初の開幕投手、防御率1点台の可能性も十分。同学年の才木とダブルエースを結成すれば、25年虎の未来は明るい。
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村上は「さも当然」と言わんばかりに、よどみなく誓いを立てた。来季開幕投手への思いは? 会見の最後に質問が飛ぶと、迷うことなく肯定した。
「先発をやっている以上はやりたいポジションでもありますし。そこは本当にアピール。キャンプからしっかり投げていきたい」
1カ月前の11月8日、藤川監督がテレビ番組内で開幕投手候補について触れた。エース格に投げ勝てる。長いイニングを任せられる。2つの要素を踏まえた上で「才木、村上、このあたりになるんじゃないかと思います」と回答。もちろん、村上も譲らない。
今季は7勝11敗、防御率2・58。球団からゲームメークを評価され、年俸1300万円増を勝ち取った。ただ、そこは昨季10勝6敗、防御率1・75でセ・リーグMVPに輝いた右腕。満足感には浸らない。
「去年作った貯金分が今年借金になった。(勝敗を)ひっくり返せるようにもう1度やっていきたい」
目標とする防御率1点台、160イニング到達へ。課題はすでに明確だ。
「今年は去年なら空振りを取れていたところでファウルになったり粘られることが多かった。もう1度、真っすぐで空振りを取れるようにやっていきたい」
数値を見る限り、今季は持ち味の「真っスラ」の動きが小さくなっていた。左肩の開きが早かったのか。フォーム修正の先に理想とする直球、藤川監督が現役時代に投じた軌道が待つ。
「火の玉ストレートというすごい真っすぐを投げて、空振りを取っていた。ああいう真っすぐを投げられるように頑張りたい」
常に切磋琢磨(せっさたくま)を続ける同学年の才木は今季、一気に侍ジャパンの主戦格にまで成長した。4日前には来季のタイトル8冠にも意欲を見せている。ならば村上も!?
「いや…8冠…まあ、あいつならやってくれると思います。それに付いていきたいと思います(笑い)」
謙虚に、それでいて力強く。村上が逆襲ロードを丁寧に舗装していく。【佐井陽介】
〇…村上は頼れる先輩勢のFA残留を喜んだ。11月29日の大山に続き、前日12日には原口もFA残留を発表。「大山さんは守備、バッティングで助けられていますし、原口さんもチームの中心となって声を出していただいたり、代打で一振りでやっていただいたりして、チームとしても欠かせない存在」と表現。「あの2人に出ていかれると、タイガースとしても本当に厳しい。残っていただいて本当にうれしかったし、補強っていうような形だと思う」と満面の笑みを浮かべた。