出場機会に恵まれない選手の移籍を活性化させる第3回「現役ドラフト」が9日に非公開で行われ、ソフトバンクはDeNAから上茶谷大河投手(28)を獲得した。
東洋大から18年ドラフト1位で指名された実力派で、1年目からプロ初完封など7勝(6敗)をマーク。ここ2年はリリーフに転向中だが、球団は実績十分の右腕に補強ポイントでもある先発ローテの一角を期待した。ソフトバンクからは吉田賢吾捕手(23)が日本ハムに移籍する。
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ソフトバンクがドラ1右腕の獲得に成功した。第3回「現役ドラフト」でDeNA上茶谷の加入が決定。日本シリーズ6試合で33失点を喫した投手力強化は、今オフの補強ポイントの1つだった。永井智浩編成育成本部長兼スカウト部長(49)がみずほペイペイドームで取材対応し「もともとドラフト1位で指名された選手ですし、能力は評価していました。僕らとしては先発でチャレンジしてもらいたい」と構想を明かした。
上茶谷は東洋大から18年ドラフト1位でDeNAに入団。当時は甲斐野(西武)、梅津(中日)とともに「東洋大150キロトリオ」や「3羽がらす」と称され、同年ドラフトの目玉になった。上茶谷は期待通りに1年目から7勝(6敗)をマーク。19年6月1日のヤクルト戦ではプロ初完封を飾った。リリーフに転向した23年はキャリアハイの46試合登板で5勝3敗、4ホールド、防御率2・11をマーク。今季は18試合登板にとどまったが、150キロ超えの直球に鋭いカットボール、スライダーが持ち味で、永井本部長は「それを生かしてもらいつつ、先発にチャレンジしてもらえたら」と再転向でのポテンシャル発揮に期待を込めた。
来季は開幕投手の有原、モイネロ、スチュワートの3人が開幕ローテーションに当確。小久保監督は長いシーズンを踏まえて先発を7人用意する予定で、残る4枠を大関や大津らが争う構図だ。FA宣言した石川の去就が未定とはいえ、ここに実績十分の上茶谷が加われば、ローテ争いは激化する。現在、メキシコでウインターリーグに参加中の右腕は海の向こうで移籍を知らされ、DeNA球団を通じて「新天地で活躍する姿をお見せできるように頑張っていきたいと思います」と力強く所信表明した。
昨年の現役ドラフトでは日本ハムから中継ぎ左腕の長谷川威展を獲得。今季は登板32試合で4勝0敗、防御率2・49の活躍を見せた。上茶谷にかかる期待も大きい。東洋大時代から球団が「評価していた」とほれ込でいた逸材が、福岡にやってくる。【只松憲】
◆上茶谷大河(かみちゃたに・たいが)1996年(平8)8月31日生まれ、京都府出身。京都学園-東洋大を経て、18年ドラフト1位でDeNA入団。19年4月2日ヤクルト戦で先発し、プロ初登板。同年5月18日ヤクルト戦で先発し初勝利を挙げた。他の選手のフォームの物まねが得意で、ファンフェスタではチームメートの入江を漫才も披露するなど、ムードメーカー的な存在。182センチ、83キロ。右投げ右打ち。