アルビレックス新潟の松橋力蔵監督(56)が9日、聖籠町で今季の総括会見を行った。ルヴァン杯では決勝まで勝ち上がる躍進を見せた一方、リーグ戦は10勝12分け16敗と苦戦。残留争いに巻き込まれ16位でフィニッシュとなった。指揮官は約1時間、時折、冗談を交えながらジェットコースターのようなシーズンを振り返ったが、来季続投については明言しなかった。
松橋監督の一問一答は以下の通り。
◇ ◇ ◇
--最終戦で残留決定。
「何かを引きずる感じではなく、すごく苦しんで苦しんでという思いだったので、安堵(あんど)感というかそれが漂っている感じ。ほっとした」
--結果は16位。
「起点になるところで肝になるファクターを選手にどう与えられるかが大事だと思った。目がそろえば力を発揮してくれる選手たちだが、大事なときに伝えきれず、ちょっと後手をふむことはあった。攻守にしても、順位にしても、僕の伝え方に課題があった」
--リーグ戦は苦戦。
「リーグ戦は連勝する機会が非常に少なかった。いろんな大会が並行して行われる中でチームの勢いが保てなかった。それが最終的な順位につながった」
--負け試合でも内容は悪くなかった。
「全てがネガティブではない。リーグ2年目の難しさはあったかもしれないが、選手それぞれの良さ、トライもあった。僕自身は手応えも感じている」
--プロの監督業3年目で得たものは。
「得るものは必ずあると思うが、ぽっと出て来るものではない。どこまで続くか分からない仕事で、おそらく振り返ったときに自然に感じられるのでは。ニュートラルな状態を保てるほうではあるが、やはり揺れ動いた時間はあった。そこでも取り乱したり、方向性を見失ったりなどはなかった」
--後半戦は起用選手が固定された。
「勝ち点をどう取って行くかを逆算し、腹をくくって覚悟を持って判断した。どういう戦術か、どう点を取って守るか、考えた結果、より固定された」
--予算が限られる中、勝利と育成の両立は難しいか。
「やってる我々は必ずしも(予算と結果が)つながらないという思いが先行している。ネガティブに針が振れると、前に踏み出せない。やはり両方の可能性を見いだしていくことが大事だと思う」
--勝てない時期に選手に迷いもあったが、スタイルを貫いた。
「俺は(スタイルを)変えないよ、と。『変えるくらいだったらやめる』って言った記憶はある。悪くなって疑念が湧くことはあるが、まずは、どういい方向に持って行くかに頭を持って行く。全体に伝えるときは覚悟を持って発信している。論理的に説得するより、半ば強引に伝えたことはある。感情的になったこともある」
--総失点が59。特に9月は大量失点が続いた。どうアプローチした。
「ハイプレスが強みだったが目線がそろわなくなってしまい、ボールを奪い切れずに失点につながった。なので戦い方を少し変えた。落ち着いたところはあったが、そこからどう得点につなげていくか。守備が変われば攻撃の仕方も変わらなければならない。なかなか描いた絵の共有が出来なかった」
--ミドルブロックを敷いたことで攻撃への出力が低下。終盤戦のゴール数減少に影響したか。
「ミドルブロックではなく、ミドルプレスにならないといけなかった。ミドルで構えた時には自分に与えられたゾーンを守りながら、そこに入って来る選手を捕まえる。奪ったボールは(後ろに)下げるよりは前にスペースがあるので、よりショートカウンターが有効になる。ただ、うまくそこがつながらなかった。どちらかというと序盤戦のハイプレスや、ビルドアップからのカウンターに成果が出た」
--今季の自己評価は100点満点中何点か。
「16点。16位なので(笑い)」
--試合終盤に同点に追いつかれる、逆転される試合も多かった。
「1対1の攻防は全てで勝ることはできない。繰り返し伝えてきた部分ではあるが、甘さはあった。そこの結果が最後まで響いた。くさびが打てなかった」
--ルヴァン杯は勝ち上がる一方、リーグ戦は残留争い。マネジメントは難しかったか。
「すごい難しかった。『僕らはどこにいるんだろう』という感覚はあった。シーズン終盤は決勝戦と残留争い。どこかで気持ちの安定さ、どこに寄りかかったらいいか、という不安定感は少なからずあった。私自身も多少はあった。どういう風に選手にメッセージを伝えたらいいか。どうゲームに挑んで行くのか。自信を持たせるのか、ポイントを取るべきなのかなど。そういう部分で頭がグラグラしていた印象はある」
--来季続投は。
「今、このタイミングで話せることはない」
--来季の監督かどうなるかは未定だが、このスタイルは継続すべきか。
「僕が決めるかは別として、どういう選手がいるかが大事。そのスタイルを貫ける選手をそろえることが大事。特化しているかもしれないが、柔軟性も大事。そればかりではなく、うまく強みの1つになることも大事かなと。どこのクラブでもそうだと思う」