<明治安田J1:鳥栖3-0磐田>◇8日◇第38節◇駅スタ
ジュビロ磐田が1年でJ2に逆戻りした。J1残留へは勝利が絶対条件だったアウェーでの最終節サガン鳥栖戦で0-3。既にJ2降格が決まっていた相手に前半で2失点した。後半は今季限りで現役を引退するMF山田大記(35)ら攻撃的選手の投入で反撃を試みるも、無得点のまま終戦。クラブ史上初めてJ2に落ちた地で再びの悪夢に見舞われ、Jリーグではワースト2位となる4度目の降格となった。
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あまりにもあっけない最後だった。残留へは勝利が絶対条件の一戦で完封負け。勝って奇跡を待つどころか、J2降格が決まっていた相手にも完敗した。試合後は約1300人が駆けつけたサポーターからブーイングを浴びせられた。横内昭展監督(57)は「結果については全て私の責任」。会見後は深々と頭を下げるしかなかった。
勝利のみを目指した試合でも、ちぐはぐだった。前半16分、中央を簡単に崩されて失点した。FWジャーメイン良(29)は「前は点を取りにいかなければいけなかった」。攻撃陣がゴールを目指す一方で守備陣はこれ以上の失点できない心理が働いた。意思統一ができないまま、同30分に再び中央を破られて2失点目。後半は反撃ムードすらなく、痛恨の3失点目を食らって力尽きた。
戦い方も定まらなかった。指揮官は10月上旬の広島戦から5バックに変更。「残留仕様」の戦いにかじを切ったが、そのタイミングも遅く、逆効果だった。成熟されていない戦術に選手が対応できず、残留の行方を占う10月以降の7試合で17失点。守備を固めるためのテコ入れも付け焼き刃にすぎず、終わってみればリーグワーストタイの68失点で終戦した。
横内監督は「最後まで課題を好転させることができなかった」。元日本代表GK川島永嗣(41)も「シーズンを通して厳しさが足りなかったからこういう結果になった」と悔しさをにじませた。
残留に向けてチームはまとまっていた。過去3度のJ2降格時とは違う団結力はあったが、戦い抜けるだけの実力がなかっただけだ。J2降格は4度目。かつて3度の年間優勝を誇った名門も近年はJ2が「定位置」になりつつある。J1とJ2を行き来する「エレベータークラブ」のレッテルを貼られ、またしてもわずか1年でJ2に逆戻りした。【神谷亮磨】