“リアル殿馬”になる。日本ハム「新入団選手ウエルカムイベント」が8日、エスコンフィールドで行われた。ドラフト5位の早大・山県秀内野手(22)はアクロバティックな守備で魅せる遊撃手。ピアノと器械体操が特技で球団から「野球漫画ドカベンの殿馬がファイターズにやってきました」と紹介された。指先から足先まで、研ぎ澄まされた感覚を生かした守備と打撃で、ファンをとりこにする。
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人気漫画の世界から飛び出してきたかのような“芸術的遊撃手”山県が、プロでの躍動を思い描いた。大渕スカウト部長は「昭和の人気野球漫画ドカベンの殿馬がファイターズにやってきました」と紹介。山県は「殿馬は奇想天外で型にはまらない。そう言われるのはうれしい。自分の中では想定内の動きなのですが、ファンの方が見て楽しいと思えるプレーをこれからもできたら」と意気込んだ。
ピアノは小2から始め、早大2年まで週1回、教室に通っていた。得意な曲はショパンの幻想即興曲。「ピアノは目で楽譜を見て両手両足動かす。無意識に同時に動かす。無意識になるまで練習をするっていう面で、しっかり野球につながっている」。6歳から小6までは器械体操も習っており「自分の空間認識能力だったりとかは、そこで鍛えられたかなと」。リズム感を生かした器用な身のこなしが、好守の源だ。
殿馬といえば、華麗な守備に加え、秘打も武器。山県はセーフティーバントが得意で「大学時代のコーチに常に狙っていけと言われたので、意識してやってました」。あくまで「本業はバッティング」と言うが、意表突く状況でのバントでもファンを魅了しそうだ。
新庄監督は春季キャンプで新人の1軍スタートは「ない…あ、でも内野手は」と唯一内野手の山県の1軍スタートを示唆。早大学院出身の秀才で、現在は早大商学部に在籍。卒業論文は「会社の投資リスクについてやってます」と、頭脳も明晰(めいせき)なルーキーが、球場を舞う。【永野高輔】