阪神の新コーチインタビュー第4回は、2軍から1軍に配置転換となった野村克則バッテリーコーチ(51)。若手の台頭も期待される捕手の育成方法や役割などについて持論を展開した。【聞き手=塚本光】
◇ ◇ ◇
-新体制になって藤川監督の印象は
「チームも若返って、新しい風を吹かそうというところもあるし、岡田監督やってきたことを受け継ぎながらというところもある。藤川監督の考え方も加味しながら方向性を出してやっていく。みんな若いし、元気。チームに活気があっていいかなと思う」
-受け継がれている部分とは
「守りのところとかじゃないかなと思いますね。岡田監督、やっぱり投手陣はすごく気にかけて整備してやっていたと思うから」
-コミュニケーションがしっかり取れている
「そうね。それが一番大事なところだと思うから。人間関係って、話すことが大事だから。一方通行にならないようにしようかな」
-今年も梅野と坂本を併用したが1人の捕手が座る方がいいのか
「今はそういう時代じゃないんじゃないかな。僕らの時代では(父の)野村監督とも強いチームにはいいキャッチャーがいると言っていましたけど。今は役割、ピッチャーとの相性ももちろんある。ただ、どうしてもキャッチャーって、控えのキャッチャーがたまに出るのと、古田さんがポンって出るのと締まり方が違った。これがレギュラーなのかな。今なら坂本とか梅野とかが出て、そういう雰囲気になればいい」
-中川も外野手に挑戦
「キャッチャーってポジションは1つだから。複数ポジション守れたら試合に出るチャンスも出てくる。できないよりはできた方がいい。彼のバッティングを生かすためのことだと思うし、キャッチャーとしての視野も広がるし、それは全然いいかなと思います」
-1人でも梅野と坂本に割って入るような若手が出てきたらいい
「このキャッチャーが出たら全体的に締まるというのがあるからレギュラーを取ったら長いと思う。でも、そこまで経験を積んでいかないと、1本立ちに3年くらいかかってしまう。いろんなことを経験しながら、配球を覚えたり、状況的に防ぎ方とか対応の仕方とかを覚えたり、周りを見る力とか、勝負どころの1球とか駆け引きとかを出ながら覚えていくと思う。1球で勝負が決まる。栄枝とか藤田もいいものを持っているし、いい競争になるんじゃない。面白いと思いますよ」
-1軍で出ることはまた違う
「栄枝にしても藤田にしても、十分にもう2軍では経験を積んでいるから、1軍でうまいこと。いつまでも坂本と梅野に頼っていられないから、チームとしては少しずつ次のところも入っていかないといけないだろうし、いきなり彼らがいなくなってポンって出してたら間に合わない。チームとしてはキャッチャーを育成していくことも1つ課題。少しずつ入って、経験させていく中で覚えていく。僕らもそうやったから消化試合も負けゲームとかでも、サイン出すのに緊張するから。でも、そういうのは大事になってくるんじゃないかな」
◆野村克則(のむら・かつのり)1973年(昭48)7月23日生まれ、東京都出身。堀越、明大を経て、95年ドラフト3位でヤクルトに入団。当時の登録名は「イチローにちなんでカタカナでカツノリ」と父野村克也監督が独断で決定。阪神、巨人、楽天でもプレーし、06年に現役引退。巨人時代の04年だけ本名でプレーした。引退後は楽天、巨人、ヤクルトでコーチを歴任。22年シーズンから阪神で2軍バッテリーコーチ。右投げ右打ち。