<W杯アジア最終予選:中国1-3日本>◇19日◇C組◇第6戦◇福建省アモイ
【アモイ(中国)=永田淳】FW小川航基(27=NECナイメヘン)の9戦9発となるヘディング弾2発で、日本(FIFAランキング15位)が中国(同92位)を3-1で下した。小川は前半39分に左CKから決めると、2-1の後半9分にも頭で決め、大観衆の後押しで勢いに乗る中国を突き放した。日本は最終予選6戦を5勝1分けとし、突破に大きく前進。勝てば来年3月にワールドカップ(W杯)切符をつかむ。
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FW小川が宣言通りのゴールで、8大会連続のW杯出場へ王手をかける立役者となった。左CKから中国DFのマークに遭いながらも力強く頭でゴール左に先制点を決めると、後半にはMF伊東のクロスに反応。バックステップで巧みにマークを外して再度ヘディング弾をたたきこんだ。
中国サポーターで真っ赤に染まった白鷺体育場が異様な雰囲気に包まれる中、序盤の日本は攻めあぐねた。集中した守備からの攻撃を継続し、徐々に中国守備陣にほころびを作り、小川が仕上げた。「非常に苦しい時間帯続いたんで、先制点がカギになると思っていた。その中で先制点が取れたのは大きかった」。
15日インドネシア戦では、ゴール前に飛び込んで先制点を呼び込んだ。しかし記録はオウンゴール。正真正銘のゴールを狙う小川は、試合前日に「次、チャンスがあればかり得点したい」と宣言。その通り文句なしの得点を決めてみせた。
中国側が日本対策としてピッチの横幅を3メートル縮める“アウェーの洗礼”を受けた。それを逆手に取るセットプレー弾は、チームに勢いを与え、中国サポーターを意気消沈させた。
ライバルとなるFW上田が負傷離脱している間の2ゴールで、小川は代表通算記録を9戦9得点とした。定位置争いの筆頭に名乗りをあげた点取り屋は「使ってもらえればしっかりと結果を残せる自信があるし、自分の中では『やっぱり自分だ、自分だ』と常に思っている。序列を上げていけるように常にアピールすることに尽きる」。これ以上ない形で、力を証明した。
最終予選は“完全アウェー”の試合が続いたが、ここまでアウェー全勝を含む5勝1分けで単独首位。「サウジアラビアでもインドネシアでも、超満員のアウェーでこういう勝ち方をできたのは、真の強さを持ってるということ」。北中米行きを引き寄せた点取り屋は、チームと自身のパフォーマンスに胸を張った。
▼9戦9発 FW小川航基が中国戦で2得点を決めて国際Aマッチ通算9試合目の出場で9ゴール目。通算9ゴール時の出場試合数としては66年のFW釜本邦茂の10戦9発を更新した。小川は19年12月14日の東アジアE-1選手権の香港戦で日本代表史上3人目となるデビュー戦ハットトリックを達成している。
◆日本のW杯出場の行方 日本は来年3月20日にホームで行われる次戦でバーレーンに勝つとC組2位以上が確定し、3試合を残して8大会連続のW杯出場が決まる。過去の最速突破は10年南アフリカ大会で「消化試合」は2試合、開催国を除いて世界最速だった。なお、日本はバーレーンに引き分けた場合でも他チームの結果次第でW杯の切符を手にする可能性がある。