<ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12:侍ジャパン3-1台湾>◇16日◇台北ドーム
【台北16日=栗田尚樹】風は頂へと吹いている。侍ジャパンが、「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」の超満員の大アウェー台湾戦に勝利した。辰己涼介外野手(27)の今大会初安打の適時二塁打、初スタメンの源田壮亮内野手(31)の侍1号で、逆風をはねのけた。試合当日の朝、通常は選手ごとに分けられる洗濯物が、ごちゃ混ぜの状態で返却されるアクシデントが発生。台湾での初戦となった前日15日の韓国戦では、序盤にバットボーイが不在でスタッフが代役を務めた。風向きを変え、これで3連勝。1次ラウンド突破に王手をかけ、威風堂々と連覇へ歩む。
◇ ◇ ◇
侍の風で満ちてゆく。完売の台北ドーム。4万人近い台湾ファンが総立ちで盛り上がり、記者席が揺れようと、マイクパフォーマンス、鳴り物応援が終始続こうと、ナインには微風だった。辰己も「外で日本食を食べたけど、何かちょっと違うんすよ」と台湾でいつもの満足感を得られなかったが、パフォーマンスはいつも通り。1点リードの3回2死三塁。今大会初安打の適時二塁打を左中間へ。「『3番を打たしてくれ』って言ってあるんで井端さんの顔に泥塗るようなことは僕はしないんで、何べんも言うように、台湾はしっかり楽しんでいきたい」。コメントも日本滞在時と変わらなかった。
年間30~40試合ほどしか使われない同球場。芝が立っていることで、源田は警戒心を強めていたが、3回守備では三遊間深く飛んだ難しいゴロを難なく処理。ストレスを感じなければ、バットもスムーズ。2点リードの4回1死から右翼へ。前回大会、五輪、WBCと長く背負ってきた侍で初の1発。「本当にたまたまなんですけど」と風向きを変えた。
逆風だった。試合前、選手の洗濯物がごちゃ混ぜの状態で返ってきた。スタッフによれば「いつもは選手ごとにユニホーム、靴下など一式で返却されるが、ユニホームはユニホーム、靴下は靴下で返ってきたので、スタッフと選手がさばいてくれた」。韓国戦の試合途中は、バットボーイが一時不在。チームの用具担当が回収役を務めた。関係者は「台北ドームのスタッフがおらず、仕方がなく。球場側に要請し、対応してくれた」と明かした。
日本に風が吹いている。16日から直撃するとみられていた台風25号は、熱帯低気圧に変わった。くしくも、球場からほど近い台北アリーナでは、日本のシンガー・ソングライター藤井風が16、17日にアジアツアーを開催。争奪戦のチケットは早々に完売した。台湾に流れる日本の「風」。侍もアジアから世界一の花をきらりと咲かす。
○…風は止んでも、雨が侍ジャパンを待ち受ける。現地は17日は雨予報。同日のキューバ戦は、今大会初の屋外となる天母球場が舞台となる。試合開始遅延、中断、中止の可能性なども予見されるが、台風25号が熱帯低気圧に変わったことで懸念されていた球場の変更はなくなった。悪天候の中で、ナインは無傷の4連勝を目指すことになる。
--【プレミア12】侍ジャパン3連勝かけ台湾戦/スコア速報>>--https://www.nikkansports.com/baseball/samurai/2024premier12/score/score.html?