広角打法でアーチ量産だ! 阪神の秋季高知・安芸キャンプ第2クール最終日の11日、佐藤輝明内野手(25)が、中堅から左方向への柵越えを連発した。13本の内訳は左翼2本、左中間5本、バックスクリーン5本、右中間1本。これまでの引っ張り中心から一変、広角に飛ばす大変身だ。甲子園で左方向に打てば天敵だった浜風も味方にできる。今季16本塁打に終わった大砲が新打法への手応えもつかみ、5年目の大爆発を目指す。
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ランチ特打最後の47スイング目。佐藤輝が規格外のパワーで、安芸をどよめかせた。完璧に捉えた一撃はバックスクリーンを越える特大の場外弾。打球は道路をまたぎ、サブグラウンド手前の草地に着弾した。「いいスイングができている。良い練習ができましたよ」。晴天のグラウンドで充実の笑みがはじけた。
引っ張り中心だった背番号8が、別人のような大変身を見せた。バックスクリーン越え弾だけでなく、ランチ特打で柵越えした9本中8本が中堅から左翼方向だった。左翼へ1本、左中間へ4本、バックスクリーン直撃2連発。右方向へのスタンドインは1本だけで、広角にアーチを打ち分けた。
新打法への挑戦について「外の攻めも増えてきた(から)」と明かした。「センターを狙って、ちょっと外寄りはあっち(左中間)に行く」。外角は強引に引っ張ると相手の術中にハマるが、中堅から逆方向を意識してしっかり押し込めば伸びる。佐藤輝のパワーがあれば柵越えできる。特打後のフリー打撃で放った4本の柵越えも左翼へ1本、左中間へ1本、バックスクリーン直撃2本とオール逆方向。その意識はシーズンに比べても「強いかもしれないですね」とうなずいた。
プロ4年間で放った84本塁打の内、6割以上の54本が右中間から右方向。中堅から左方向は約3割に過ぎなかった。だが、広角打法を身につければ、今季16本塁打からの量産にも期待が膨らむ。左打者にとって、引っ張った打球が伸びない甲子園の浜風は難敵だが、左翼方向に上げれば打球は伸びる。「逆方向に強い当たりを」と力を込めた。
打撃の進化を目指し、主力ながら安芸キャンプに参加。第1クールでは新任の小谷野打撃チーフコーチのもと、打球速度アップを意識し、出力上げる練習に取り組んだ。第2クールは広角打法のマスターに励み、手応えを得た。ノーステップに近い打法も試行錯誤しながら、実りの秋を実感している。パワーアップして、かつ全方向にアーチをかっ飛ばす。真のアーチストへ、ニュー佐藤輝に乞うご期待だ。【塚本光】
▽阪神小谷野打撃チーフコーチ(佐藤輝について)「今に関して言えば、いい取り組みをしてるんじゃないかと思います。自分なりにいろいろ考えて」