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【今治】岡ちゃんオーナー初J2「甘くなかった」10年間、理想はあれど…服部監督に授けた助言


FC今治は2023年12月10日に行われた明治安田J3第36節でガイナーレ鳥取を5-0で破り、初のJ2昇格を決めました。岡田武史氏がオーナーを務める今治は、同氏が経営に参画した2014年から約10年で国内5部相当の四国リーグからJFL、J3とステップアップを果たしてきました。今回の昇格では、新本拠地の建設や選手育成の成果が大きく貢献しました。特に26歳のFWビニシウスがハットトリックを達成したことが勝利の決定要因となりました。岡田氏と共に長年指導を受けた服部年宏監督の手腕が、シーズン中の低迷を覆し、昇格を実現する一助となりました。今治は重要な試合での勝利勢いに乗り、未来のJ1優勝争いに向けて、さらなる基盤強化を目指しています。

岡田武史氏(2023年12月16日撮影)

<明治安田J3:鳥取0-5今治>◇10日◇第36節◇Axis

元日本代表監督の岡田武史氏(68=日本協会副会長)がオーナーのFC今治が、初のJ2昇格を決めた。敵地でガイナーレ鳥取に5-0で完勝し、勝ち点67。2試合を残して3位カターレ富山との勝ち点差を9に広げ、自動昇格圏の2位以内を確定させた。2度のW杯指揮を経て14年に経営参画してから10年。国内5部相当の四国リーグからJFL、J3と駆け上がり、W杯フランス大会で共闘した教え子の服部年宏監督(51)とともに目標の「J1で優勝争い」へ前進した。

   ◇   ◇   ◇

岡ちゃん今治がJ2に到達した。現地で見届けた岡田会長は「ホッとしたよ」と思わず笑顔。四国リーグ2年、JFL3年、J3は5年を要し「甘くなかったけど、苦労した分、進歩した」と敵地に詰めかけた約500人と喜んだ。低予算でブラジルから22年に獲得し、瀬戸内海で育てた26歳のFWビニシウスがハットトリック。過去1分け3敗だったアウェー鳥取の鬼門を破り、次の扉を開いた。

日本に初のW杯切符をもたらした98年フランス大会に、DFで招集した教え子の服部氏を今季、監督に起用した。開幕4連勝…しかし4~5月に4連敗。一時は11位まで沈んだ。今季も無理か…。不安がよぎった中、岡田氏は経営の傍ら、練習にも顔を出した。美しく崩す「岡田メソッド」の理想はあっても「基礎が足りなければ勝てない」と助言。ボール争奪など原点から見直させ、昇格後「服部監督には誰よりも聞く勇気と決断力があった。立て直してくれた」と称賛した。

14年、今治の運営会社から株式51%を取得。横浜F・マリノス監督時代にJリーグ2連覇、代表では10年W杯南アフリカ大会で16強入りした指導者から、クラブ経営者に転じた。15年に宣言した目標「25年にJ1で優勝争い」には間に合わなかったが「23年にJ1基準スタジアム建設」は実現。20億円の借り入れも含めて自前で総工費40億円を調達した新本拠は、直近10戦負けなし(8勝2分け)と聖地化し、J2初昇格の力にもなった。

社員6人、縁のない港町で庭木の枝切りなど、ご用聞きから始めて認知してもらい、現在は社員35人、コーチ45人、選手36人を抱える。「食わせていく義務がある。やめてやる、と開き直れる代表監督と違う重圧」と闘った10年間。68歳になったが、今春開校のFC今治高で学園長も兼ねるなど行動力は衰えない。地方創生でJ2へ「より資金格差が顕著になる中、どう1年目からJ1昇格を狙うか」。夢があるから、すぐ次を考えられる。【木下淳】

◆FC今治 1976年(昭51)に大西サッカークラブとして設立。12年にJ3愛媛の下部組織から独立し、現名称に。14年10月、岡田氏が運営会社「今治.夢スポーツ」の株式51%を取得してオーナーになる。16年にJリーグ百年構想クラブ。かつては駒野友一や橋本英郎も在籍した。クラブカラーは青。所在地は愛媛県今治市高橋ふれあいの丘1の3。矢野将文社長。

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