<ラグザス 侍ジャパンシリーズ2024:侍ジャパン7-1チェコ代表>◇9日◇バンテリンドーム
侍ジャパンの守護神・大勢投手(25)が、9回のマウンドに帰ってきた。6点リードの最終回に登場し、計7球で3人を完璧に仕留めた。23年WBC以来となる侍での登板に、力みを感じながらも最後を締めくくった。井端監督から絶対的守護神に指名されている。「ラグザス presents 第3回プレミア12」では、史上初となる“リーグ優勝”&“同一年の世界大会”でのダブル胴上げ投手実現に挑む。
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大勢が守護神の風格を漂わせた。6点リードの最終回、ゆっくりとマウンドへ上がる。投球練習から全開モード。初球、154キロの直球に井端監督はベンチからマウンドをのぞき込んだ。「ベンチピッチャーのボールを見るのがほとんど最近なかったので…。1球目はボールが追えなかった」と同監督。文字どおり、目にも止まらぬ速さでベンチもチェコも度肝を抜いた。
先頭を155キロで中飛に仕留めると、続いて巨人の同僚フルプと対峙(たいじ)。内心は「打たれたら何言われるか分からないじゃないですか」。それでも直球で一邪飛に封じた。最後は代打ブベニークを内角155キロ直球でバットを粉砕。三ゴロで試合を締めくくって、表情を変えることなくグラブを2度たたいた。「投球練習で156キロって見えたときに、ちょっと力んじゃいました。それが僕の良くないところ」と、はやる気持ちとせめぎ合った。
23年WBC以来の国際試合独特の空気感を全身で浴びた。「いっぱいお客さんが入っている中で投げるのは久々だった。登板前からワクワクしていた」。プレミア12では井端監督から「大勢投手を出したときには勝ったと私は思ってますんで」と絶大なる信頼を寄せられている。リーグ優勝の胴上げ投手と、世界一の胴上げ投手を同じ年に達成した前例はない。史上初のダブル胴上げ投手へ向けて好発進した。
振り返ればドラフト1位でプロの門をたたいた3年前、「優勝のかかった試合だったり、緊迫した場面を任せていただけるような選手になりたい」と理想を思い描いた。その言葉通り、3年後に巨人でリーグ優勝の胴上げ投手になった。世界一のマウンドへ「次は本番ですけど、試合の中でもどんどん挑戦したい。いろいろなことをしたい」。原動力は飽くなき挑戦心。日本の最終回を制圧する。【小早川宗一郎】