J1で16位のアルビレックス新潟が9日、勝ち点1差しかない17位柏とアウェーで直接対決する。リーグ戦は残り3試合。J1残留争いから1歩、抜け出すための大一番に向けて、FW小見洋太(22)が闘志をたぎらせた。準優勝だった2日のルヴァン杯決勝では後半途中出場から2ゴール。大会史上最多観衆の前で圧巻のパフォーマンスを示した勢いそのままに、新潟のラインブレーカーが敵陣を切り裂く。
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絶好調の小見が、攻撃陣を引っ張る。元新潟の日本代表森保監督が「ルヴァン杯史上最高」と称賛し、聖地の6万2517人はもちろん、多くのサッカーファンを熱狂させた名古屋との決勝から1週間。戦いの場をリーグ戦に戻すチームは一転、J1残留に前進すべく、勝ち点1差の柏とマッチアップする。「ああいう悔しいゲームがあった中、それをエネルギーに変えて1週間、準備してきた。全てぶつけていきたい」。短い言葉に決意がにじんだ。
その決勝は1-2の後半追加タイムに得たPKを、独特なキックフォームでしっかりと沈め、さらに2-3の延長6分にはFW長倉のスルーパスに抜け出し、左足で2ゴール目を奪ってみせた。突入したPK戦のキックも、しっかり成功。初Vこそ逃したが「どんな状況でも冷静にプレーできるようになってきている。(今後も)自分の長所を出して試合に臨みたい」。プロ4年目のアタッカーは大舞台の経験を、成長速度の加速につなげるつもりだ。
リーグは残り3戦。16位新潟とJ2降格圏の18位磐田の勝ち点差は、わずかに「5」だ。さらに磐田は未消化試合が1つ多いため、今節の結果次第では新潟の残留に黄色信号がともる。タイトルを懸けて戦った舞台とは、また違った重圧の中、迎える17位柏との直接対決。J1死守の先、来季も見据え「リーグ戦で(タイトル争いを)狙うためにも残留が必要。この一戦に懸ける思いはチーム全体として非常に強い」と語気を強め「ポジションにこだわらず、多少、強引にでも仕掛けていきたい」。勝利に必要なゴールを奪うイメージを膨らませ、敵地に向かった。【小林忠】
○…右MFダニーロ・ゴメス(25)も好調をキープしている。ルヴァン杯決勝では0-2の後半26分に、得意の左足クロスでFW谷口のヘディングゴールをアシストした。その後も鋭いドリブル突破から何度もチャンスメーク。今節は柏との残留直接対決となるが「重要度は、どの試合も変わらない。いつも通りのプレーに徹するよ」と頼もしく勝ち点3を誓った。