<YBCルヴァン杯:名古屋3(5PK4)3新潟>◇2日◇決勝◇国立
J1新潟は、初の決勝で名古屋との壮絶な打ち合いの末、PK戦で敗れた。クラブ初タイトルは逃したが1-2の後半追加タイム5分過ぎ、途中出場のFW小見洋太(22)が自ら倒されて得たPKを右に沈め、試合を振り出しに戻す。2-3の延長後半6分にもFW長倉幹樹(25)のスルーパスに抜け出し、この日2点目。「MVP」級の活躍を見せ、超満員の都心の聖地を熱狂させた。準優勝賞金5000万円を獲得した。
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念願の初Vには届かなかったが、小見が、新潟の大サポーターのボルテージを上げた。圧巻パフォーマンスの始まりは1-2の後半追加タイム。5分過ぎ、ペナルティーエリアに突っ込んで相手に倒され、PKを誘発した。プロ4年目で初めて任されたキッカーだったが、独特の、小刻みな助走からゴール右に決めた。
「ドキドキしたけど、自分の思った方向に蹴れた。しっかりと決めることができた」。外せば敗色特濃の局面で会場の空気は張り詰めたが、試合を振り出しに戻す。22歳は冷静だった。
延長戦に持ち込んだ後の開始3分に1点を勝ち越されたが、再び背番号16が輝く。ラスト15分間に入って6分、長倉の、右からのスルーパスにオフサイドライン紙一重で抜け出すと、GKランゲラックの右脇を射抜く左足シュートでゴールネットを揺らした。チームを2度、救った連弾。「(ラストパスに対し)外側にランニングしながら、最後はGKを見ながら冷静に流し込めた」と振り返った。
大会史上最多6万2517人が沸騰した国立で、少ないチャンスをつかみ切った。1点を追う後半27分から途中出場し「ここまで大きな舞台は経験したことがなかった。多くの新潟サポーターが最高の雰囲気をつくってくれた」。愛する新潟の宿願成就を願うサポーターと共闘するように、全力疾走。2得点と推進力ある突破で注目され続けた。
目標にはわずかに届かなかった。「最後の最後まで抵抗できて良かったけど、そこまでいけたからこそ悔しい。ただ、最高の雰囲気の中でプレーできた。またこの舞台に戻って来て、今度こそリベンジしたい」。聖地の悔しさをバネに、さらに進歩する。【小林忠】