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岡田監督の退任、阪神が「監督交代」にかじを切った責任は重い 今後の焦点はポスト/寺尾で候


阪神岡田彰布監督(2024年10月7日撮影)

<寺尾で候>

日刊スポーツの名物編集委員、寺尾博和が幅広く語るコラム「寺尾で候」を随時お届けします。

    ◇   ◇   ◇

プロ野球界の定石でいえば“続投”だろう。あれだけ実績を築いた阪神監督の岡田彰布が退任するという。次に監督になる人は、いきなりV奪回を求められることになった。

昨季のリーグ優勝、日本一は見事で、今年も最後まで首位争いを演じた。若手登用のトレンドに反した球界最年長は、若い監督にない野球観、独特の手綱さばきで、ファンに新鮮だったに違いない。

その象徴が“アレ”だった。岡田語は意味不明も目立ったが、ほとんど飾り気がなく、うそもない。歯の浮くようなコメントをする指揮官と違って、オブラートに包むことのない本音トークが受けたのだろう。

地元大阪が本社のパインアメまで売り込むナニワの商人ぶりで、観客動員は300万人突破。例年は厳しい株主、ステークホルダーも絶賛し、企業統治においてもケチのつけようがなかった。

まさに岡田は名実とも名将に上り詰めた。本来は「もう1年」と頭を下げるのがしきたりだろうが、あえてというべきか、阪神が「監督交代」にかじを切った責任は重い。

前任者の矢野燿大から岡田に代わった際は、阪急阪神ホールディングス(HD)の意向が強く働いた。同時に初の阪急出身、HD社長だった杉山健博を短期的にオーナー職に起用してバックアップ態勢を整えた。

阪急HDと阪神電鉄の経営統合は06年10月1日に阪急阪神HDが発足する。当時、村上ファンド進出から阪神電鉄の公開買い付け(TOB)成立、統合会見までを現場で取材した記者としても変化を感じる。

現在の阪神球団は“孫会社”のような立場で主従関係は明らかだが、岡田が2年契約を終える今回の監督の処遇は「阪神」が主導することになった。その結果が「岡田退任」、新監督の擁立だった。

こちらの取材と多少食い違っていて疑問が生じるのは、その後継者の選定についてだった。親会社の阪急阪神HD関係者は、これまで後任選びについて明確に語っていたからだ。

「次は岡田監督が決めることになると思います。それに岡田監督が決めたことに杉山君が反対することはないでしょう」

契約年限が2年だった岡田のミッションは2つあった。「勝てるチーム」と「後継者育成」。前者は結実したが、後者については道半ば、成し遂げたとは言い難い。

そもそも阪神は「勝つことが最大のファンサービス」という考えだった。そして、監督に就く人材は、指導者経験者を据えるのが不文律だったはずだ。今回はそれをすっ飛ばしたわけだ。

今後の焦点は、フロント入りが発表された岡田のポスト。星野仙一SD(オーナー付シニアディレクター)、中村勝広GM(ゼネラルマネジャー)など前例は存在した。

過去にはスポンサーのご接待、サービスが主な役割のように映ったこともあった。生え抜きで大功労者の岡田だけに、待遇面はもちろん、前例にとらわれないポジションに起用すべきだろう。

要はどこまで「権限」をもつのか。いかに軽薄でない肩書がつくのかに注目が集まっている。ただその前に、日本一の頂点に立てば、再びファンから“オカダコール”のうねりが起きるのは想像に難くないが。

(敬称略)【寺尾博和】

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