アルビレックス新潟は5日のホーム鹿島アントラーズ戦に向け、聖籠町で調整を続ける。9月27日の前節アウェー川崎フロンターレ戦は1-5で大敗。今季初の3連敗を喫したが、最終盤に途中出場のFW太田修介(28)が右足で今季2得点目を奪い、左足負傷からの完全復活を印象づけた。
太田にとって今節は町田時代に指導を受けたポポビッチ監督(57)との今季最終対決。タッチライン際で常に危険な存在であり続ける爆速シューターがかつての恩師の前で2戦連続ゴールを奪い、新潟に勝利を呼び込む。
シュートがゴールネットを揺らす音が、何度でも太田を奮い立たせる-。川崎F戦は今季リーグ戦最多失点で大敗。悔しさは残ったが、自身は0-5の後半41分に意地の一発をたたき込み、足跡を残した。
「ゴールは自分が今まで(プロで)生き残ってきた部分だと思っている。そこは常に意識しなくてはいけないし、これを継続していかないといけない」
鹿島戦に向けた1日の全体トレーニング後には、FW谷口、MF星らと練習場脇の陸上用トラックで「クーパーテスト」とも呼ばれる12分間走を実施し、3000メートル以上を走った。自主トレ後、大粒の汗を拭いながら「素走りは嫌い。日陰、行っていいっすか…学生時代を思い出す」と苦笑いも「コンディション、強度を上げるために(中距離走を)最近、始めた。試合のための準備」と話す顔は、どこか迷いが吹き飛んだように晴れやかだった。
自身初のJ1舞台だった昨季は度重なるケガを乗り越え19試合出場5得点をマーク。さらなる爆発を期待された今季だったが、開幕直前に急性虫垂炎で離脱。3月に試合に絡み始め5月11日浦和戦でようやく今季1号を決めるも、その翌日の練習中に左足を負傷した。離脱と復帰を繰り返し、ここまでは悔しさが先行するシーズンとなっているが、リーグ終盤で今季2号を奪い、リスタートを切った。「これ(得点)を勝利につなげていくために何個も取っていきたい」と、順位浮上のキーマンに名乗りを上げる。
今節は「僕にとって一番の恩師」と慕う町田時代に指導を受けたポポビッチ監督との対戦ともなるが、試合が終わるまでは私情を捨てる。「アタッカーが点を取れば勝ち試合に持って行ける。そこは責任を持ってやる」。目覚めの予感漂うフィニッシャーが、鹿島撃破の立役者になる。【小林忠】