<阪神8-1中日>◇27日◇甲子園
1イニング複数得点を呼ぶ男だ。阪神前川右京外野手(21)が長打2本で3打点と暴れた。0-0で迎えた7回。大山の左前適時打で先制し、なおも無死一、二塁。代わった2番手左腕、中日斎藤の139キロ高めの直球を振り抜き、右翼線へ適時二塁打。満員の虎党の大歓声に包まれながら塁上で大きく手をたたき、喜びを爆発させた。
「スライダー1本で待っていて、真っすぐが来たので反応で打った感じです。あの打席は良かった」
岡田監督の助言が効いた。打席に入る前にベンチで「引っ張ってこい」と指示された。指揮官のアドバイスを見事に体現し、この回4得点に貢献した。1イニング複数得点は6月16日ソフトバンク戦の1回以来、65イニングぶり。自身がプロ初の満塁弾を放ったイニング以来のビッグイニングを呼び込んだ。
お立ち台では兄夏輝さんの23歳の誕生日を祝った。試合前にメッセージを送ったが、バックネット裏で観戦していた兄へ、お立ち台から直接「おめでとう」と祝福。尊敬する兄へ最高のプレゼントを送った。
8回にも中越えの2点適時二塁打。「頌樹さんが点取られるかなと思ったので、もうちょっと(点を)取りたいと思いました」。お立ち台で共演した智弁学園の先輩、村上を笑顔でいじった。若き5番打者が打線を勢いづけている。【村松万里子】