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【阪神】近本光司「刺殺王」美技を生む守りの流儀/虎を深掘り


5月1日の広島戦の12回、阪神近本は坂倉の打球を好捕

<虎を深掘り。>

日刊スポーツの随時企画「虎を深掘り。」の今年第12回は阪神不動のセンター、近本光司外野手(29)が披露する守備のスゴ技を紹介します。今季も球場狭しと走り回り、安打性の打球を次々とキャッチ。天然芝、雨上がりなど悪条件でも高いパフォーマンスを発揮してきました。今日25日は倉敷マスカットスタジアムで中日戦。プロの技術が詰まった守備は、地方球場でも大きな力となりそうです。【取材・構成=柏原誠】

■正確に打球判断

「残念そこは○○」。ファインプレーが出るとネット上にあふれる、野球ファンおなじみのワードだ。虎党は今年も「残念そこは近本」を連呼している。

近畿は6月21日に梅雨入り。天然芝を本拠地とする阪神にとっては、足場が不安な日々が続く。それでも近本は「梅雨は別に嫌いじゃないですよ。甲子園は足元がいいですからね」と頼もしい。

グラウンド条件をものともしない近本の守備力は、阪神の武器になる。象徴的なシーンがあった。甲子園初戦だった4月9日の広島戦はいきなりの雨上がり。その初回先頭。前方への飛球を猛チャージ&スライディングで好捕した。

中堅手の泣きどころは「前後」の打球。捕手の構えや投手の球筋が見えるため、打球の予測がしやすい一方、正面に飛んできた打球は距離感をつかみにくい。「1歩目を早く」はイロハのイと思われがちだが、意外な考え方を明かした。

近本 僕は、判断が遅くていいと思っています。左右の判断はすぐできる。でも前後はすごく難しい。仮に前後に対して早い反応をして、もし逆だったら、取り返しがつかない。ファインプレーも大事だけど、外野手はミスをしないことが一番だと思っています。

一瞬、スタートを遅らせてでも、正確に前か後ろかをまず判断。打球の変化も確認しながら、全力で落下点に向かう。足の速さがものをいうのは間違いない。ここでつきまとうのが目線のブレだ。速く足を動かすほど視界が上下に揺らぐ。だが、近本は球界でも指折りの球際の強さを誇る。

■安定感ある走り

近本 腰の位置を安定させること。そうしたら目線はブレない。僕はそのためにオフの間、練習しています。目線がブレないための方法は、人それぞれで考えた方がいいと思います。

盗塁、走塁も一流。攻撃時と守備の走りは厳密に言えば違うそうだが、ポイントはどちらも「腰」とした。当然、意識だけで会得できる走法ではない。腰の位置を高く保ち、安定させることで悪路にも強くなる。地方球場やぬかるんだ芝生でも、ハイレベルなプレーをできる理由だ。

近本 天然芝は、土の詰まりによって地面が波を打つので、腰を同じ位置にしたまま走るのがすごく難しい。常に同じような走りをするというより、感覚で反応していかないといけない。だから足より腰を安定させたいんです。

足元が不安定な状況では「足」だけで走っていては、足をとられる可能性があるということだろう。

■スライディング

特長のもう1つは、頻繁に繰り出すスライディングキャッチ。打球により早く追いつくためというよりも、捕球寸前に目線がブレないメリットがあると明かした。派手に見えるアクションだが、目的は逆。「滑った方が確実ですから」。

たとえば5月1日の広島戦(マツダスタジアム)。しびれるスーパーキャッチがあった。延長12回2死一、二塁。坂倉の打球はふらふらと中堅前に飛んだ。捕球目前で不規則に変化。こぼしていればサヨナラ負け。阪神ファンの悲鳴の中、芝生を滑りながら右腕を伸ばして捕球した。ギリギリに見えたプレーも、近本にすれば「安全策」だったのかもしれない。

冷静な判断、安定感のある走り、そしてスライディング。3年連続のゴールデングラブ賞に輝く名手の知られざるスゴ技だ。

◆刺殺 守備において、フライやライナーを直接に捕球した場合や、他の選手からの送球を受けてアウトを取った時、または走者にタッチしてアウトにした場合に記録される。外野手の場合には、一般に守備範囲が広いほど多くなる。なお外野手の刺殺数シーズン最多は1リーグ時代の48年青田昇(巨人)391。1試合の最多は11で、49年金田正泰(阪神)ら5人が記録している。これに対し、補殺はアウトを取る際に送球した選手に記録される。

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